2017年のCESはAmazon Alexaが、そして2018年のCESはGoogleアシスタントが、それぞれ人工知能にフォーカスしたブランドとして際立った存在感を示した。Amazon Echo、Google Homeは小型版、大型版、ディスプレイ搭載版などとバリエーションを増やし、家庭内に複数個設置されることを目指している。

AppleのAIスピーカー「HomePod」は、2017年12月の発売を延期し、そうしたAmazonとGppgleが繰り広げる競争に加わらない姿勢を明確に示した。実際、新たなデバイスをばらまかなくても、Appleの音声アシスタントSiriは、iPhone、iPad、Apple Watch、Apple TV、そしてMacと、既に多くのデバイスで動作しているからだ。

そんなSiriに一つ追い風となるようなキーワードを耳にする場面が米国で暮らしている中で何度かあった。それは「人工知能アレルギー」だ。人工知能は日々人が使えば使うほど賢くなるように設計されている。いわば、我々の日々の情報活動が、人工知能の成長を育んでいるのだ。しかしこのことに異を唱えているのが「人工知能アレルギー」を論じる人たちだ。例え匿名化されたとしても、自分のデータが人工知能に食われ、彼らを賢くするために使われているということに抵抗を覚えているというのである。

  • Siri

人工知能アレルギーの人は、Siriを支持する傾向がある。Appleは、ユーザーのデータを不用意に端末の外に持ち出さない、というポリシーで取り組んでいるからだ。Siriはあくまで、端末内の我々の情報を参照し、それらから必要な情報を取り出したり、手助けするパターンを実行するに過ぎないのであるから。

人工知能や機械学習の仕組みを一般の人が全て理解することは難しい。おそらく人工知能アレルギーを持つ人々も、人工知能に対する恐れや悪い印象が影響している部分も大きいだろう。Appleは、そうした人工知能に対するネガティブな兆候をとらえ、正しい理解とApple独自の取り組みをアピールしていくことで、よりSiriへの信頼を厚くしていく可能性がでてくる。