米IC Insightsが2018年1月に発行を予定している年次半導体市場調査レポート「2018 McClean Report」によれば、今後5年間、主要な集積回路市場のカテゴリでもっとも成長することが予測されるのは、2017年に高い成長率を達成したメモリではなくアナログICであるという。同レポートでは、(汎用だけではなく、特定アプリケーション向けのデバイスを含む)アナログICの売上高について、2017年の545億ドルから2022年には748億ドルへ年平均成長率6.6%で増加すると予測している。

同レポートは、IC市場をアナログ、ロジック、メモリ、マイクロコンポーネント(マイクロプロセッサやマイコンなど)の4つの主要製品カテゴリに分類している。

  • IC全体(赤色)およびICの主要4大カテゴリ(青色)ごとの2017~2022年の年平均成長率予測(%)

    IC全体(赤色)およびICの主要4大カテゴリ(青色)ごとの2017~2022年の年平均成長率予測(%)。上から、アナログIC ロジックIC メモリ、IC全体、マイクロコンポーネント (出所:IC Insights)

今回の予測でもっとも急速に成長する製品カテゴリであるとされるアナログICは、高度なシステムと低予算のアプリケーションの双方に必要不可欠な半導体である。例えば電源管理用アナログICは、ロジックなどが過熱するのを防ぐため電力の使い方を制御し、最終的に携帯電話やバッテリ駆動システムのバッテリ寿命を延長するのに役立っている。この電力管理用IC市場についてIC Insightsでは、2017年に前年比12%増とするほか、2018年も同8%増と予測しており、アナログIC全体よりも高い成長率をする市場と見ている。

車載アナログICは2018年に15%成長

このほか、2018年は、車載アナログIC市場が前年比15%増とアナログICの中でももっとも急速に成長する市場であるとの予測で、WSTSで分類される33のIC製品カテゴリでも3番目に早く成長する市場であると予測されている。自動運転車や電気自動車、ハイブリッド車などの普及により、車載用アナログ半導体の需要が堅調に推移することが見込まれているためだ。

ただし、通信および民生分野が今後ともコンバータ製品の最大市場であることには変わらないし、データコンバータやミクスドシグナルデバイスなどの信号変換のためのコンポーネントは、今後5年間のうち3年間は2桁の成長が見込まれ、成長を続けると予測されている。

今後5年間を見た場合の最大の成長市場ではないとされたメモリについてIC Insightsでは、今後、正常名成長に戻ると見ており、2022年までの年平均成長率は5.2%としている。また、マイクロコンポーネント(半導体統計上のMPUやMCUなどの総称)市場は、年平均成長率3.9%に留まると見込まれている。標準PC(デスクトップおよびノートブック)、ならびにタブレットの出荷台数の低迷によりマイクロ製品が低迷しているためで、32ビットMCU市場を除いて、ほとんどのマイクロコンポーネント部門の成長率は、2022年まで1桁台半ばの低空飛行を続けるとIC Insightsは予測している。

なお、IC市場全体については、2017~2022年の5年間の年平均成長率を5.1%としている。具体的な金額としては、2017年の22%の増加に続き、2018年には同8%増の3939億ドルとなり、これが予測の最終年である2022年には4658億ドルに達するとしている。