「【シゴトを知ろう】土木施工管理技士 編」では佐藤工業株式会社名古屋支店の米田咲さんに仕事内容について伺いました。番外編では土木の仕事について4年目の米田さんが、経験豊富な職人の方と一緒に仕事をするために心掛けていることについて詳しく教えていただきました。

■管理する立場として、つらくても絶対に泣かないようにしている

――現場を統括するにはリーダーシップが必要になると聞きました。指揮を取る際に心掛けていることはありますか?
 
リーダーシップを取るためには周りの人から信頼されていなければなりません。私は、現場の職人さんと話すときはあいまいな言葉を使わず、共有すべき事項がきちんと伝わるように具体的な言葉を使って話すようにしています。また、素直になることも重要です。仕事をする上で誰だって間違えてしまうことはあります。私の間違いで迷惑をかけてしまったときは、素直に謝る。そして助けてもらったときは、必ず感謝の気持ちを伝えるようにしています。些細な会話の積み重ねが良い人間関係を築くのだと思います。

また、土木の現場には職人気質の方が多くいます。厳しい言葉を投げかけられる場合もありますが、絶対に泣かないように心掛けています。職人さんは年上の方も多く、私より多くの経験を積んできた方々です。それでも私は管理者であり、職人さんをまとめる立場です。泣いていたら、現場の方々に安心してもらえません。

■街中の工事現場から新技術を学ぶことも

――このお仕事ならではの「休日あるある」やついしてしまう癖があれば教えてください。

街中で工事現場を見かけるとつい観察してしまいます。土木で使われる技術や施工方法は人によって異なるため、全く知らない技術を知るきっかけにもなるのです。また、そうした珍しい技術について自分が働く現場の職人さんに聞くこともあり、良い話のネタにもなります。


――ユニークな業界用語や一般の人が知らない意外なトリビアがあれば教えてください。

生コンクリートを型に流し込むことを「打設(だせつ)」といいます。現場では打設をさらに縮めて「打つ」とも言っています。「コンクリート打って」と街中の工事現場で聞いたことがある人もいるかもしれませんね。土木業界の用語は打設の他にも、専門用語が数多くあります。興味のある方はぜひ調べてみてください。

■職人に認められたときに、この仕事をしていてよかったと感じた

――最後に、お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。

仕事を始めたばかりのころは職人さんと打ち解けられず、声をかけるのもためらってしまう時期がありました。職人さんは私の名前も呼ばず、中には仕事に手を抜く人さえいたのです。しかしひるまずに注意することで「この人はきちんと仕事ができる人なんだな」と徐々に信頼してくれるようになりました。初めは名前も呼んでくれなかった職人さんが「監督さん」「米ちゃん」と声をかけてくれるようになると、とてもうれしくなりますね。

特に私が土木施工管理技士になってから初めて配属された現場にいた、非常に厳しい職人さんのことは今でも思い出します。私がミスをした結果怒らせてしまい、翌日からなんとなく話しづらいぎくしゃくした関係が続いていました。しかし無事全ての仕事をやり遂げたときに、「ごめんね。また一緒に仕事しよう」と声をかけてくれたのです。その瞬間、諦めずにこの仕事をしていてよかったなと思いました。


米田さんのお話から、施工現場の管理者をする上では、現場で働く職人さんと信頼関係を築くことが非常に重要だと分かりましたね。しかし、ただ仲良くコミュニケーションを取ればいいわけではなく、管理者としてメリハリのある態度で接することが円滑に仕事を進めるのに効果的なのかもしれません。この仕事に興味を持った人は、街中で工事現場を見かけたときに、いつもよりも注意深くそこで働く人々の動きを見てみてはいかがでしょうか。
 
 
【profile】佐藤工業株式会社 名古屋支店 土木事業部 碧南火力作業所 米田咲
【取材協力】一般社団法人 土木技術者女性の会
http://www.womencivilengineers.com
女性技術者の質の向上と活動しやすい環境づくりを目指しています。幅広く活動を行うため、学生の皆さんは無料で会員になれる仕組みにしています。