2018年の年頭にあたり、ベリタステクノロジーズの代表執行役員社長を務める大江克哉氏は、以下の年頭所感(抜粋)を発表した。

明けましておめでとうございます。日ごろからの当社に対するご支援に厚く御礼申し上げます。新年にあたり、皆様にご挨拶を申し上げます。

2017年は、「360度データ管理」のポートフォリオをさらに拡張し、複数のクラウドへのデータの分散、全社的なデータガバナンスの複雑化への対処を進めてまいりました。弊社のアプローチは、情報を有効資本として活用させる新ソリューションとして、マルチクラウドの導入に取り組む多くの企業の皆さまからご好評をいただきました。

特に、AWS, Microsoft, Google, IBMといったパブリッククラウドプロバイダーとのパートナーシップ拡大により、オンプレミス環境と同等のデータ可視化と保護、およびデータガバナンスをマルチクラウド環境でも実現可能にし、また、Nutanixとのパートナーシップを拡大し、活用するハードウェア、ハイパーバイザー、またはクラウドの選択による制約を受けずに、広範なエンタープライズワークロードの保護を提供しました。さらに、データ増大に伴うコスト、パフォーマンス、俊敏性といった要求を満たすために、ベリタスを代表するSDSソリューションのラインナップを次々に発表させていただきました。

ベリタスは、2018 年にみられるデータ管理の動向について、以下 5つの予測を立てています。

(1)IT 部門には、クラウドデータ管理とコスト削減を進める責任が求められるようになる

弊社の調査によると、69% もの企業がデータ保護、データプライバシー、コンプライアンスの責任がクラウドサービスプロバイダにあるという誤った認識を持っています。加えて、多くの企業ではコストを考慮することなく無秩序にマルチクラウドの導入を進めている現状も考えると、2018 年には、より厳しい要求が IT 部門に突きつけられる可能性があります。たとえば、データ漏えいが発生したことによって IT 部門の管理責任を追及されたり、 CFO からインフラコストのより大幅な削減を要求されたりするかもしれません。

(2)生成されるデータは著しく増え続ける一方、データストレージの消費は鈍化する

弊社の調査によると、昨年、データの年間増加率は 48.7% と大幅な伸びを見せ、驚異的な速度で高コストのストレージ容量を消費していました。ところが実際には、企業が保存していたファイルの 50% 以上は素性が不明だったことが判明しています。2018 年以降、「ストレージに何もかも保存」という考え方から、「基幹業務を支える情報や有用な洞察が得られるデータを識別して保存する」というストレージ戦略に考え方がシフトされていくでしょう。単純にデータを保存するようなストレージの消費は鈍化し、企業のデータ管理戦略を支えるスマートでコスト効果の高いストレージが求められるでしょう。

(3)GDPR によって罰金を科される企業には、EU外の企業が含まれる

2018 年 5 月 25 日という期限が迫っているにもかかわらず、ベリタスが調査した世界中の企業のうち GDPR を遵守できていると考える企業はわずか 31% でした。違反した場合の罰則は厳しく、この規則は EU 市民のデータを扱うあらゆる企業に影響を及ぼします。EU外の企業へ罰金が科せられるケースもあるかもしれません。

(4)データ管理は分析技術によって大幅に高度化する

分析技術の発展により、アーカイブ、バックアップ、ストレージをめぐる議論は、従来の単純に「容量を増やす」ことをはるかに超えたレベルに進展します。AI により強化された新しいデータ評価手法によって、ポリシー適用の自動化と、よりインテリジェントなデータ管理方法を通じた情報ライフサイクル管理の再構築が期待されます。

企業は従来型のレポジトリを活用し、幅広い業種で新しい発見、営業活動、カスタマーエクスペリエンスを強化する洞察を引き出すようになります。

(5) 情報漏えい問題の深刻化

米国のある機関の調査では、2016 年の情報漏えいは2015 年から 40% 増加しており、2017 年は、7 月の段階でほぼ前年の件数を超える勢いとのことでした。

攻撃の対象も、構造化データから非構造化データへとシフトされており、企業においても、クラウドやオンプレミスを含む複合的で複雑な環境に広がるさまざまなワークロードの保護から、さらにはインフラ全体の保護を簡単に行える方法が求められるようになっています。特に、ランサムウェアは、新旧のワークロードを狙って高度化しており、攻撃対象が広がってきていることから、従来よりも俊敏、スマートで、拡張性の高い方法が求められます。

ベリタスは、オンプレミスの物理・仮想環境からマルチクラウドに至るまで、あらゆる場所に広がるお客様のデータについて、保護や可用性の確保に加え、新たな要件である移行性、レジリエンシー、可視性、さらにコンプライアス対応も実現するべく、引き続き「360度データ管理」のアプローチによる製品群を進化させてまいります。さらにより「インテリジェントなデータ管理」を目指し、2018年もさらなる新製品の提供と、クラウドベンダー等とパートナー様との連携を進め、予想されるあらゆる問題に対処してまいります。私も、当職に着任して5カ月になりますが、2018年はお客様のもとに積極的に足を運び、情報管理の課題をヒアリングさせていただくことで、日本にふさわしい形でのソリューション提供を進め、お客様が情報に新たな価値を見出すことができるよう貢献してまいりたいと考えております。

2018年も引き続き、変わらぬご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。