2018年の年頭にあたり、パナソニック 代表取締役社長 津賀一宏氏は、以下の年頭所感を発表した。

「創業100周年」となる、2018年がスタートしました。100周年を迎えることができたのは、お客様、パートナー様のご支援、そして創業者をはじめ多くの先輩方のご努力があってのことです。我々は、こうした方々への感謝の念を決して忘れてはなりません。一方で、創業 100 周年それ自体は、単なる通過点に過ぎません。我々は常に「一商人」としての謙虚な気持ちを忘れず、しっかりと将来を見据え、101 年、102 年と着実に年輪を重ねていく会社でありたいと思います。

過去 20 年を見ると、当社は年々激しくなる社会の変化に対応しきれず、伸び悩んできました。2011年、12年には大きな赤字を出し、以来、5年以上、課題事業に対する構造改革、立地が悪化した事業の転地、また成長領域への積極的な投資など、様々な取り組みを行ってきました。結果、昨年度には「減収」に歯止めをかけ、今年度は、年間で「増収増益」の実現が見えてきています。変化対応力をつけるための我々の努力が、実を結び始めたと感じています。何としても、今年度の目標をやりきり、さらに上積みしていくことで、一刻も早く「増収増益の定着」を目指していきたいと思います。

一方、これから向き合う新たな100年は、これまでの100年より、はるかに変化の激しい時代となります。既存のビジネスモデルを磨くだけでは、次の10年における変化にすら対応することは難しいでしょう。今後も当社が発展していくためには、自らの事業の姿やビジネスモデルを絶えず変革することで、世の中の変化を成長の機会に変えていく力をつけることが不可欠です。

では、変化に対応し続けるためにはどうあるべきか。業界を牽引する「チャンピオン」の事業には、現在の力を軸としながら、その周辺に新たな強みの領域を作ることで変革に挑戦して欲しいと思います。また、「チャンピオン」を目指す「挑戦者」の事業には、「チャンピオン」には出来ないような「業界の構造を変える」、「新たな領域を作る」ことに果敢に挑戦して欲しいと思います。 全ての事業が「チャンピオン」もしくは「挑戦者」としてのマインドを持って変革に挑めば、当社は世の中に、より一層のお役立ちを果たせる魅力的な会社になることができると考えています。

当社には、これまで培ってきたものづくり力や技術力、またお客様と寄り添うことで獲得してきた信頼のブランドなど、多くの強みがあります。こうした強みに一層の磨きをかけ、「Cross-ValueInnovation」によって変化の激しい時代にも柔軟に対応することが、将来にわたって生き残る会社の姿だと考えています。そして、全員の努力で、今は1つ1つの製品についている「パナソニック」というブランドを、今後は「変化に対応できる、素晴らしい会社のブランド」に少しずつでも変えていきたいと思います。皆さんの挑戦に心より期待しています。共に頑張りましょう。