いよいよ2018年がスタートし、冬ドラマがまもなく始動する。従来のリアルタイム視聴率に加え、タイムシフト(録画)視聴率、SNSでの拡散数など、さまざまな指標でドラマ作品が評価されるようになってきた中で、データニュース社が運営する視聴状況調査「テレビウォッチャー」では"満足度"を集計。この膨大なデータを日々分析する研究員が、出演者はもちろん、脚本家やプロデューサーが過去に手掛けた作品の"満足度"に焦点を当てながら、注目の冬ドラマを紹介していく。

●「テレビウォッチャー」満足度調査概要
・対象局:地上波(NHK総合、NHK Eテレ、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)
・サンプル数:関東1都6県、男性1,200+女性1,200=計2,400 ※回収数は毎日変動
・サンプル年齢構成:「20~34歳」「35~49歳」「50~79歳」各年代男女各400サンプル
・調査方法:毎日モニターにテレビ視聴に関するアンケートを同じアンケートモニターへ配信、データを回収するウェブ調査
・採点方法:最高点を「5」とし、「3.7」以上を高満足度に基準
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  • 『アンナチュラル』石原さとみ(左)と『anone』広瀬すず (C)TBS (C)NTV

新作が待ち望まれた2人の脚本家

冬ドラマは、今とくに新作が待ち望まれる2人の脚本家が手掛ける作品が登場する。1つ目は、16年に大ヒットした新垣結衣主演『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)で一気に注目が集まった野木亜紀子脚本の石原さとみ主演『アンナチュラル』(TBS)だ。

過去の野木作品の満足度は『逃げ恥』の4.24ほか、13年の『空飛ぶ広報室』(新垣結衣主演、TBS)3.85、15年の『掟上今日子の備忘録』(同主演、日本テレビ)3.80、16年『重版出来!』(黒木華主演、TBS)3.93と、データが残る12年以降の連続ドラマ(12年の菜々緒主演フジテレビ『主に泣いてます』は単独脚本ではないため除外)4本全てが、高満足度の基準を上回っている。

最新作『アンナチュラル』は先の4作と違って原作を持たないオリジナルストーリーで、映画を含めても自身初のオリジナル連ドラ(※)となり、"逃げ恥後初の作品"というだけではない、まだ誰も見たことのない野木作品が一体どんな仕上がりなのかという点でも期待が大きい。そして、初のオリジナル作品に選んだジャンルが、これまでになかった解剖医が主人公の"法医学ミステリー"。原作を換骨奪胎してドラマに落とし込むことに長けていた野木だが、設定やキャラクターだけでなく、事件のトリックまでゼロから生み出さなければならないミステリー作品で、どんな手腕を発揮するのか楽しみだ。

(※)…オリジナル作はデビュー作で単発の『さよならロビンソンクルーソー』(10年のフジテレビヤングシナリオコンクール大賞作品)があり、連続では早船歌江子らと共同で担当した松本潤主演『ラッキーセブン』(12年、フジ)を書いている。

2つ目は昨年、その質の高さから数々のテレビ賞を受賞した『カルテット』(TBS)を手がけた坂元裕二脚本の広瀬すず主演『anone』(日テレ)。『カルテット』は、松たか子をはじめとする主要キャスト4人のリアルでおかしくて深い、坂元裕二にしかできない独特の会話劇を中心に、ラブストーリーやミステリー、コメディーともとれるジャンルにとらわれない新しいドラマの形を提示したが、今作『anone』は、『Mother』(松雪泰子主演、10年)や、『Woman』(満島ひかり主演、13年)を手掛けた同局のスタッフたちが再集結するとあって、社会派ドラマになりそうだ。

坂元脚本の魅力は、セリフの面白さはもちろんなのだが、ドラマ性の高さも挙げられる。『Mother』では幼児虐待を救うために少女を誘拐し、血のつながらない関係の中で生まれた母性を、『Woman』では生活苦に加えて難病や夫の死の真相など、シングルマザーに降りかかるさまざまな困難と、断絶していた生みの親との再生を描くなど、どれも"超"が付くほどドラマチックな物語の中で、その独特な会話劇によってエンタテインメントでありながら文学的でもある、絶妙なバランスの社会派名作に仕上げた。

『Woman』は満足度4.11と超高数値を獲得し、メガヒットした『半沢直樹』(堺雅人主演、TBS)に次ぐ13年の連ドラ第2位を記録した。今回もドラマ性の高さと会話劇の妙を味わいたい。