アクセンチュアは、カナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバーに拠点を置く、量子コンピューティングの先進企業である1QB Information Technologies Inc.(以下、1QBit)に出資したことを発表した。なお、取引の条件は非公表となっている。

  • 業務を行う1QBitチームの様子

    業務を行う1QBitチームの様子

今回の出資にあたり両社は、アクセンチュアを1QBitの推奨システムインテグレーターに指定する戦略的提携を締結した。これによりアクセンチュアは、自社のツールおよび資産のデモ、トレーニング、開発、テストにおいて、1QBitのプラットフォームを使用することが可能になる。この背景には、アクセンチュアが量子コンピュータ技術を応用し、革新的なエンタープライズ ソリューションおよびアプリケーション開発の先駆者となることを目指している状況がある。

今後は、アクセンチュア アプライド・インテリジェンスを通じて量子コンピュータ技術を応用した分析手法の開発と、アクセンチュア・ラボが特定する実証の機会を広げていきたいとしている。

また、すでにアクセンチュアは複数の特許を申請しており、複数の量子コンピューティングデバイスに対し、ネストコールを使用することで複雑な最適化問題を解消するマルチステートの量子最適化エンジンや、ドローンの飛行経路の最適化といった、輸送システムの改善を可能にする量子コンピューティング法などが申請されているという。

そのほか、両社は2017年、量子構造を利用した分子比較アプリケーションの開発でBiogenと提携することも発表している。このアプリケーション開発により、多発性硬化症や、アルツハイマー病、パーキンソン病、ルー・ゲーリック病といった複雑な神経学的疾患の創薬にかかる時間の短縮が可能になるという。

アクセンチュアの最高技術責任者(CTO)兼最高イノベーション責任者(CIO)であるポール・ドーアティ氏は次のように述べている。「1QBitとの関係の強化により、アクセンチュアはお客様が抱える非常に複雑なビジネス課題の解決にむけて、量子コンピュータ技術を応用した画期的なイノベーションを誰よりも先に提供する、優位な立場を築くことができました。量子コンピュータ技術を応用したアナリティクスのメリットとして、金融サービス、ライフサイエンス、資源エネルギーといった、さまざまな業界において強い関心を引き出せる点があげられます」。