メカトラックスは、研究開発やビジネス用途で要求される高精度のアナログ電圧計測をラズベリーパイ(Raspberry Pi)で可能とする高精度A/D変換モジュール「ADPi Pro(エーディーパイ プロ)」の正式販売を開始した。価格は2万5,000円(税別)。

  • 高精度A/D変換モジュール「ADPi Pro」

    高精度A/D変換モジュール「ADPi Pro」

「ADPi Pro」は、小型PCボード、ラズベリーパイ(以下、ラズパイ)専用に開発され、4月に数量限定でサンプル販売された高精度A/D変換モジュール。ラズパイは元々の教育用途だけでなく、ビジネス分野、特にIoT等でのプロトタイピング/小ロット組み込み向けでも需要が急増しているが、これに呼応してさまざまなセンサーからの信号処理が求められているという。

一方、ラズパイでは、ピンヘッダ経由でのデジタル信号(I2C、シリアル等)入力は可能だが、センサー出力で多く用いられているアナログ信号には対応できないという課題があった。この課題を解決する為に、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換モジュール(基板)等がこれまでにも製品化されているが、特に研究開発やビジネス用途で要求される高精度の計測用途向けについてはほとんど製品がなかったとのこと。

同製品は、24bit分解能のAnalog Devices社 AD7794をA/Dコンバータに採用。高精度計測アプリケーション向けのアナログ・フロントエンドの搭載により微小な振幅信号を直接入力でき、出力データ・レートは、4~470Hzの周波数範囲でソフトウェア制御が可能となっている。また、A/Dコンバータの校正(キャリブレーション)を製品個別に実施し、校正データを搭載EEPROMに格納。これらの値は確認ならびに自身での校正に随時活用でき、個体差に左右されずより正確な測定が行える。

さらに、精度の高い計測のため、温度特性に配慮した外部基準電圧発生ICを搭載しており、計測時の誤差も最小限に抑えながら、A/Dコンバータに対して安定した基準電圧を供給することができる。そのほか、OS側から電源のON/OFFが可能な外部出力端子の搭載により、センサーを測定時だけONにして消費電力を削減することも可能となっている。

なお、同製品には、Linux Kernel採用のiioサブシステムを利用した専用のソフトウエア環境(カスタムKernel)が同社サイトより提供されているため、OSとの親和性も高く、ハードウエア部分を意識せずシステム開発が可能だという。また、「3GPi(ラズパイ用3G通信モジュール)」、「slee-Pi(同電源管理・死活監視モジュール)」等と併用することもできるとのことだ。