デザミスとNTTテクノクロスは、肉用種肥育牛の起立困難状態を検知するアルゴリズムを共同開発した。デザミスが持つ牛の行動モニタリングシステム「U-motion」に新機能として「起立困難牛検知アラート」を搭載し、12月末からサービス提供が開始される。

  • 牛の突然死を防止する新機能の概要

    牛の突然死を防止する新機能の概要

同サービスは、牛に装着したモーションセンサから得られた情報をクラウドデータベースに蓄積し、起立困難状態に陥った際の特徴的な行動をアルゴリズムが検知しEメールで担当者に通知するもの。出荷間際の肥育牛は900kgを超えるため、自らの体重の増加により起き上がれなくなることがあり、起立困難状態が続くと第一胃内に共生している微生物が生成するガスが貯留し、肺が圧迫されることで窒息し死に至ることがあるという。

出荷直前の死亡事故は損失金額が大きく、人員を増やして見回りの強化などの対策を行っているが、近年では1戸あたりの牛の飼養頭数の増加もあり全ての事故を防ぐのは困難となっていた。同サービスを利用することで、起立困難牛の発見のため、夜間に実施している見回り作業を軽減できる他、出荷間際の肥育牛の突然死による経済損失の減少に貢献するということだ。

同サービスが提供される牛の行動モニタリングシステム「U-motion」は、牛の行動をリアルタイムでモニタリングするサービス。加速度センサ・気圧センサ・位置検出センサなど複数のセンサで牛の行動をモニタリングするため、採食、飲水、歩行、反芻などに加え、これまで技術的に難しかった横臥・起立などの姿勢を高精度で判定することができるという。

アルゴリズムが起立困難な状態であると検知すると、牛番号・牛舎番号・月齢などの情報をEメールで関係者に通知する。Eメールを利用することで、スマートフォンのみならず従来の携帯電話(フィーチャーフォン)の利用者にも通知することができる。農場内にとどまらず、外出先でも通知を受け取ることができるため、適切な初動対応を指示することができるということだ。

なお、同サービスの利用料は、U-motionの利用料に含まれている。農場規模・牛舎構造により価格は変動するが、利用料は月額約650円/頭、7年目以降は月額約314円/頭で、既にU-motionを利用中の場合は、新機能の利用に関して追加費用・追加設備は必要ないということだ。