【小児科医が解説】2017年現在、日本で承認されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンのみですが、海外ではフルミストという生ワクチンが使用されています。子どもにも効果が高く、流行するタイプと異なっていてもある程度の効果が期待できると言われています。国内ではまだ認可されていないフルミストの効果・副作・費用・不活化ワクチンとの違い等について解説します。

◆インフルエンザ予防に使われる不活化ワクチン・生ワクチン

インフルエンザウイルスによって起こる感染症、インフルエンザ。38℃以上の高熱、咳、鼻水、全身倦怠感、筋肉痛などの症状がみられ、特にB型インフルエンザの場合は、腹痛、嘔吐、下痢などの症状が出ます。インフルエンザ脳炎、インフルエンザ脳症、肺炎、心臓の炎症である心筋炎などの合併症を伴うこともあります。

鼻やのどに感染する気道感染症で、感染してから発症までの潜伏期間は1~3日。痰やツバなどを介して人から人へ感染します。

インフルエンザで主に流行するのは、A型(H1N1型、H3N2型)、B型ですが、例えば同じH1N1型でも、タイプは様々なので、違うタイプのものに何度も感染する可能性があります。

これらのインフルエンザウイルスに対する有効な予防法が、インフルエンザワクチンです。日本で承認されている「不活化ワクチン」と、海外では使用されているものの日本では未承認の「生ワクチン」があります。

生ワクチンは、ウイルスを弱毒化して作られるワクチンです。いずれの場合も、ワクチンを作る上でインフルエンザウイルスをニワトリの卵に入れて増やします。増えたインフルエンザだけを精製し、卵の成分をできるだけ除いて使用します。

◆インフルエンザ不活化ワクチンの接種方法・費用・副作用

不活化ワクチンは、ワクチンをしてもその病気にならないように、ウイルスの病原性をなくし、「不活化した」ウイルスの一部を使っています

不活化ワクチンの場合は、卵の成分の混入が少ないので、卵アレルギーの人でも、卵の加工品などを食べても問題がなければ接種可能と考えられていますが、接種時には注意が必要です。皮下注射のため、気道の免疫には効果が乏しいと言われています。

・ワクチン内容:A型2種類(旧ソ連型(H1N1型)、香港型(H3N2型))、B型2種類
・接種方法:皮下注射・接種年齢:どの年齢でも可能。普通は、生後6ヶ月以降
・接種量:3歳未満 0.25ml/回、3歳以上 0.5ml/回
・接種回数:13歳未満は2回接種が望ましい。
・2回接種での接種間隔:1-4週間ですが、3-4週間空けるほうが望ましい。
・ワクチンの効果:約4ヶ月
・A型の対する発症予防効果:大人 約70%、子ども 約20~30% ・費用:2回で6000円~8000

■不活化ワクチンの副作用・リスク

・注射部位の発赤
・腫れ
・痛み
・全身症状(発熱・頭痛・悪寒・倦怠感・嘔吐・嘔気・下痢・関節痛・筋肉痛)
・湿疹、じんましん、カユミなど
・アナフィラキシー
・急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(脳と脊髄に炎症が起こり、重症な場合は呼吸ができなくなる病気)
・ギラン・バレー症候群(末梢神経の病気で手足が麻痺する)
・けいれん
・肝機能異常
・喘息発作など。
ワクチンは、A型(H1N1型、H3N2型)、B型で流行しそうなタイプを予想して作成するため、流行するタイプとワクチンのタイプが異なってしまった場合、発症予防などの効果が低下していまいます。

以前は予想が難しかったため、ワクチンの効果が乏しく、ワクチンしても罹ったと言うことが多かったのですが、最近は、予想と実際の流行が一致する率が上がってきているため、ワクチンの効果が見直されています。

◆インフルエンザ生ワクチン・フルミストの効果・副作用・費用

インフルエンザの生ワクチンは、「フルミスト」というものです。いわゆる注射ではなく、両方の鼻に噴きつけて使用するタイプです。インフルエンザの毒性を弱めた生ワクチンのため、2歳から適応で、49歳以下まで。50歳以上では効果が乏しいといわれいます。

・ワクチン内容:A型2種類(旧ソ連型(H1N1型)、香港型(H3N2型))、B型2種類
・接種方法:鼻に噴霧する
・接種年齢:2歳以上49歳以下
・接種量:0.2ml(片方ずつ0.1ml)
・接種回数:2歳から8歳で初めての場合は2回ですが、それ以外は1回
・2回接種での接種間隔:4週間以上
・ワクチンの効果:約1年
・A型に対する発症予防効果:5歳未満89%、7歳までは83%と80~90%
・費用:1回で6000円~8000円

■インフルエンザ生ワクチンの副作用・リスク

・噴霧から1週間以内に鼻水、鼻づまり、喉の痛みなどの風邪のような症状
・アナフィラキシー
・急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(脳と脊髄に炎症が起こり、重症な場合は呼吸ができなくなる病気)
・ギラン・バレー症候群(末梢神経の病気で手足が麻痺する)
・喘息発作など。

不活化ワクチンと違って、

・卵アレルギー
・5歳未満では喘息の既往のある人や1年以内に喘息発作を起こしたことのある人
・妊婦
・抗がん剤治療や免疫を抑制する治療を受けている人やその看護者
・アスピリン治療を受けている人
・心臓や肺の病気、喘息、肝臓や腎臓の病気、糖尿病、貧血など慢性的な病気を持っている人

以上の人には接種できません。

子供に効果のあるワクチンですが、接種時に鼻水が多いと流れ出てしまったり、噴霧を嫌がったりして、噴霧時に大泣きしてしまった場合は、効果が落ちてしまいます。

現時点では日本では未承認のため、個人輸入で使用するしかなく、補償も限定的です。医療保険は予防をカバーしない制度なので、ワクチンが保険適用になることはありません。将来的には、日本での承認が期待されています。

文=清益 功浩