なぜエクリプスクロスの走りはスポーティーなのか

エクリプスクロスはアプローチアングル(クルマ先端の最下部と前輪の設地面が作る角度のことで、悪路走破性の高さに影響する)、デパーチャーアングル(クルマ後端の最下部と後輪の設地面が作る角度)、最低地上高(車体の床下と路面の隙間)を大きく確保してSUVらしい走りを実現しつつ、四輪駆動モデルについては全車でS-AWCを採用する。S-AWCとは、4つのタイヤに最適な駆動力を配分するシステムのこと。三菱自動車のHPでは「さまざまな走行状況で、ドライバーの操作に忠実な車両挙動を実現でき、“誰もが安心して気持ち良くドライブできる”ことを可能に」する技術と説明されている。

  • エクリプスクロスの画像5

    さまざまな状況でドライバーの意のままに走るのがエクリプスクロスとのこと

エクリプスクロスのS-AWCは、「オート」「スノー」「グラベル」という具合に、路面状況に合わせてモードを選べる。「どんな路面でも安心して走れる走行性能」を実現しているというのが林CPSの説明だ。S-AWCにも複数の種類があるが、エクリプスクロスでは「オンロードの旋回トレース性の向上を一番に意識した」という。

  • S-AWCの表

    クルマによって性格の異なるS-AWCだが、エクリプスクロスではオンロードでのコーナリングを重視しているという

S-AWCは三菱自動車が約10年前の「ランサーエボリューションX」で初めて投入した技術だが、開発当初から四輪駆動のモデルには横展開していこうとの考えがあったらしい。エクリプスクロス四輪駆動モデルでの全車標準装備は、こういった考えが実現してきている証左ともいえる。

高度な制御だけでなく、ボディ剛性の高さもエクリプスクロスの特徴だという。工業用接着剤を用いたスポット溶接を採用するなど、剛性を上げるための工夫も随所に盛り込んだそうだ。パワートレインには、新たに開発した1.5Lダウンサイジング直噴ターボエンジンと8速CVTの組み合わせを採用。「低い回転数から大きなトルクを発生し、非常にパワフルな加速フィーリングを楽しめる」とのことだった。

  • エクリプスクロスの登坂デモ

    試乗会では最大45度の急な傾斜を走るデモもあったが、エクリプスクロスは坂道発進も難なくこなした

三菱のSUVが充実、スポーティーな味付けは受けるか

SUVとクーペ、そして走りとデザイン。両立が難しい2つの要素の融合に三菱自動車が挑戦し、その成果として世に問うのがエクリプスクロスだ。同社には「RVR」と「アウトランダー」という2種類のSUVがあるが、エクリプスクロスは大きさからいうとその中間に位置する。

  • RVRとアウトランダーの画像

    試乗会では既存SUV2車種(左が『RVR』、右が「アウトランダー」)と乗り比べることができた。3台のプラットフォームは共通だが、寸法が違っていたり剛性が高まっていたりするので、エクリプスクロスのスポーティーな走りは既存車種とは異なる味わいだった

既存2車種に比べスポーティーな印象が強いので、三菱自動車にスポーツカーのイメージを抱く人にとって、エクリプスクロスは気になる存在になるかもしれない。コンパクトSUVにはスバル「XV」やトヨタ自動車「C-HR」といった競合も存在するが、三菱自動車がエクリプスクロスで活用した同社のヘリテージは、他社との違いを感じさせる要素として機能しそうに感じた。