できてしまったシミを消すための治療法を医師に聞いた

できてしまったシミを消すための治療法を医師に聞いた

紫外線への暴露や活性酸素の生成によってできてしまうシミ。アンチエイジングという概念が男女問わず広く浸透している昨今、特に顔にできてしまったシミを医療の力によって消したいと考えている人は少なくないはずだ。実際にどのような施術・治療法があるのか、インターネットなどで調べた経験がある人もいることだろう。

ただ、シミの原因によってどの治療法が適切なのかは異なってくる。そこで、美容皮膚科・美容外科・形成外科のやながわ厚子医師に「シミ消し治療」のいろはについてうかがった。

シミの種類

シミは簡単にレーザー治療などでポロリと取れると思っていらっしゃる方も多いと思います。ところが、実際はそうではありません。生きた細胞を改善させていくため、皮膚の生まれ変わりや環境、刺激、レーザー治療の前後など、状態に合わせて多くの要素を含んだケアをしていく必要があり、期間も長くかかるものです。

さらには治療後に再発の可能性もあるため、「シミを消す治療」という単発的な治療より、「シミ治療」として長きにわたりケアを続けていただくことが大事ではないかと思います。

まずは治療をするにあたり、シミの種類についてご説明します。

■雀卵斑

雀卵斑は通称そばかすと呼ばれているシミの一種で、点在する色素斑がスズメの卵の表面のように見えることから雀卵斑と名付けられました。雀卵斑は、両方の頬に同時に存在するケースがよく確認されています。「シミ」「そばかす」と言葉でも分けて表記されているケースが多いように、そばかすは生まれ持っての遺伝的な要素が強く、幼少期に出現します。頬や鼻、手の甲や腕、肩など露出するところに生じます。

雀卵斑の治療には、主に光治療とレーザー治療が用いられます。光治療では、メラノサイトで多く作られたメラニンの排出を促すため、見た目の色素はうすくなる効果が得られやすいです。ただし、メラニンの産生が亢進した細胞の性質までは変わらないため、紫外線暴露ですぐに再発します。光治療後も引き続き紫外線を避けることが何よりも重要です。

光治療より深い所に照射するレーザー治療でも、再発の可能性はあります。医師と相談のもと、どちらを選択するかを決めるとよいでしょう。

■光線性花弁状色素斑

花弁状色素斑は、海水浴などで強い日焼けをした後, 肩から上背部にかけて多発性に出現する花弁状の色素斑です。

花弁状色素斑はレーザー、あるいは内服薬・外用薬によって治療していきます。レーザー治療は通常1~2回の治療で、満足な治療効果が得られるのが特徴です。内服薬としては、ビタミンC、ビタミンE、システイン、グルタチオン、トラネキサム酸などを用いることがあります。

■肝斑

肝斑と呼ばれるシミの原因は、女性ホルモンや摩擦といった外からの刺激など、多岐にわたると考えられています。20代半ば頃から出現してくるケースが多く、あまりくっきりしていないモワッとしたシミとして認められることがよくあります。

治療としては、トラネキサム酸の内服をしていただきます。刺激を避けることが大事で、マッサージも含め、手でクリームを塗る動作にも「擦りつけないように」という意識づけが必要です。光治療やレーザー治療という選択肢では、シミが濃くなるリスクがあります。そのためレーザー治療はできませんが、最近では「レーザートーニング」という治療方法が有効との説もあります。

■日光性色素斑

主に紫外線によってできる比較的くっきりしたシミで、一般的なシミはこの日光性色素斑が該当します。老人性色素斑とも言われています。

治療はシミの程度により違ってきますが、ビタミンA・Cの超音波導入や、ビタミンCのイオン導入、またトレチノイン療法、トレチノインに準じたような美白用化粧品、ハイドロキノン、光治療、色素レーザー治療などを行います。

■脂漏性角化症

脂漏性角化症も紫外線の影響などにより、盛り上がったように見えるシミです。こちらも程度により、色素レーザー治療や炭酸ガスレーザーなどで切除するといった治療が適応となります。

■炎症後色素沈着

ニキビができた後や虫刺されの後に色素が残るのは、炎症によりメラニンが過剰に増えている状態です。半年から1年の経過により軽減することもありますが、長く持続する場合もあります。

メラニンを早く排出するためのケミカルピーリング、ビタミンCイオン導入、ビタミンA・Cの超音波導入、美白成分のエレクトロポレーション、ビタミン外用やハイドロキノンの外用などが治療法としてあります。

シミ治療にかかる費用

治療範囲や機種、薬剤により異なりますが、私のクリニックでは「トラネキサム酸(約4,000円/1カ月)」「美白化粧品(6,000円~)」「光治療(1万8,000円~)」「レーザー治療(3,000円<5mm未満>~)」「ケミカルピーリング(8,000円~)」「イオン導入(5,000円~)」「超音波導入(8,000円~)」「エレクトロポレーション(1万5,000円~)」となっております(すべて税別で2017年11月時点の金額。別途初診料も必要)。

ただ、一度の施術で治療が完了するわけではありません。そして、一人ひとりの方の症状に合わせて、より適切な治療の組み合わせを各クリニックで提案されるケースが多いと思います。