みなさんが寿司を食べるとき、最初に選ぶネタはなんですか?

私は、ハマチやブリなどの赤身魚を選びます。寿司ネタの代表格であるマグロも好きですし、サーモン、えんがわ、エビなど、食べたいネタをあげればキリがありません。

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(写真:おいしそうなマグロのお寿司)

 

"SUSHI"として世界の多くの人に知られ、食べられている寿司。こうしてブログを書いているだけでも食べたくなるほど、私も大好きです。

さて、あの"しゃり"の上に乗っている様々な魚介類。みなさんは、どこで誰がどのように獲ったのか、または育てたのかまで考えてネタを選びますか?多くの人の答えはノーだと思います。私もそうです。

しかし、「このままでは、魚の寿司ネタが食べられなくなるかも!」と危機感を与えるパネル展示が、未来館にあります。

その名も、「もうえらべない?地球Sold Out! SDGs×未来逆算思考」です。

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(写真:パネル展示全景)

 

私たちが普段食べている魚介類の背景にある、乱獲や環境破壊といった課題を科学データとともに知り、これからも魚を食べ続けるためのアイデアをみんなで共有できる体験型の展示です。

体験は、2030年の寿司屋から始まります。この展示のユニークでおもしろいところはなんと言ってもここ!パネル展示のはじめに、写真撮影スポットを用意しました。

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(写真:2030年の寿司屋)

 

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(写真:寿司のかぶりもの)

 

これ、寿司のかぶりものなんです! 2030年の寿司屋に並ぶメニューでは、魚介類のネタはすべて品切れ、選べるのはたまご、カッパ巻き、なんとも聞きなれないクラゲ巻きの三つだけ。

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(写真:寿司屋のメニュー)

 

来館者のみなさんは、3つのうち1つのネタを選び、そのかぶりものを頭にかぶります。そして、本当に食べたかったネタ(品切れ)の手持ちパネルを選び、椅子に座ってパシャリ。

科学コミュニケーター石田茉利奈が選んだネタは"たまご"ですが、本当に食べたかったのは"マグロ"でした。

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(写真:本当はマグロが食べたかった科学コミュニケーター石田)

 

ここで生じる「どうして魚介類のネタがすべて品切れなの?」という疑問が、みなさんを次のパネルへと向かわせます。そこにあるのは科学データ。それらのデータからは、獲りすぎが原因で天然魚の漁獲量が横ばいになっていること、また養殖にもえさとして天然の魚介類を獲る必要があるなどの解決すべき課題があり必ずしも持続可能とは言えないことがわかります。

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(写真:科学データのパネル)

 

ここまでくると、みなさんは「やばい!このままだと魚が食べられなくなるかも!?どうすればいいの?」となるかもしれません(田中の期待)。

解決のための選択肢は、実はそれほど多くは用意されていません。これからは、魚を獲る人や育てる人だけでなく、食べる私たち一人ひとりも、食べ続けるための選択肢を自分自身で作っていくことが解決のカギになってくるのではないでしょうか。

その選択肢を考え、みんなとシェアする場所が次のパネルです!自分自身の選択肢や魚を食べ続けるためのアイデアを、たくさんの方がここに残してくれています。

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(写真:アイデアをシェアするパネル)

 

例えば、魚屋さんに「どこで獲れた魚ですか?」「どうやって育てた魚ですか?」ととことん尋ねてみたらどうでしょう?そうすることで、売る人はもっと仕入れに気を配るようになるかもしれません。私たち消費者から発信する行動が、たとえそれが小さなことでも、いつか売る人、獲る人、社会を変えるかもしれません。そんなきっかけを、この展示が作ってくれたらいいなと願っています。

ところで、タイトルにあるSDGsとは"Sustainable Development Goals"の略で、"持続可能な開発目標"という意味です。地球上の誰一人として取り残さないための17のゴールと169のターゲット(リンク先PDFの14ページ以降に記載)が含まれています。2015年9月に国連サミットの総会で採択され、2016年から2030年の間に達成することを目標としています。その17のゴールを示したロゴがこちらです。貧困や教育といった社会課題からエネルギーや気候変動といった環境課題まで、実に様々な分野があります 。

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(写真:SDGsのロゴ)

 

今回のパネル展示は、SDGsをもっとたくさんの方に知っていただくこともめざし、14番目のゴール"海の豊かさを守ろう"をテーマにして作りました。

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(図:SDGs14番目のゴールのロゴ)

 

さて、展示公開からひと月ほど経ち、たくさんの方が写真を撮り、自分の選択肢を残してくれています。そんな中、ある高校生が連絡をくれました。「このパネル展示の制作の背景などを詳しく聞きたい」というのです。企画者としては、とてもありがたく嬉しい依頼です。すぐに、未来館に来てもらうことになりました。

来てくれたのは、お茶の水女子大学附属高等学校2年生の5人です。昨今、うなぎの漁獲量が減少していることを知ったのがきっかけで、いろいろと調べていくうちに、水産物の乱獲の実態を知り、持続可能な消費やSDGsにも関心を広げ研究活動をしているとのことです。

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(写真:お茶の水女子大学附属高等学校2年生の5人)

 

彼女たちが自分たちで制作、運営しているwebサイトがあります。その名も"うなぎ×サステナブルシーフード=うなブル(http://ウナブル.jp/)"。なんとキャッチーなタイトルでしょう!ちなみに、今回のパネル展示を企画した未来館スタッフ内では密かに"すし×サステナブル"から"すしテナブル"という言葉が流行っていました。なんだか(勝手に)親近感が湧きます...。

お話するみなさんの顔は、真剣そのもの。パネル展示の企画背景だけでなく、科学データのことや、どうしたらたくさんの人に思いが伝わるサイトになるかなど、本当に熱心でした。私自身も、うなぎの漁獲量減少の実態やその理由など、彼女たちにいろいろと教えてもらいました。

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(写真:うなぶるチームとの話し合いの様子)

 

未来館のパネル展示についても、"うなブル"で紹介してくださるとのこと。研究動機から解決提案まで読み応えのある内容です。ぜひ、みなさんもご覧ください!

 

私たち未来館のパネル展示「もうえらべない?地球Sold Out! SDGs×未来逆算思考」は、2018年1月8日(月・祝)までです。お寿司をかぶって「このままではやばい!」を感じに、ぜひ未来館へお越しください!

 

※2017年12月28日(木)から2018年1月1日(月)までは休館です。新年は1月2日(火)から営業します。

 

【パネル展示のデータ無料提供について】

今回ご紹介したパネル展示は、たくさんの場所で活用していただけるよう、データを無料提供しています!詳しくは→こちら←をご覧ください。



Author
執筆: 田中 健(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
大好きな故郷の環境を守りたいとの思いから、地元県庁に入庁。 環境問題への取り組みを通じ、地球の未来について、科学的な視点からより多くの人と一緒に考えていきたいと思うようになり、未来館へ。 趣味は、歌うこと、旅行。 世界の美しい自然をまだまだ見たい!世界遺産もたくさん見たい!