住友商事は12月4日、米州住友商事傘下に設立したベンチャー投資ファンドであるPresidio Ventures SCOA Fundを通じて、マイクロタグおよびハイパースペクトルカメラの製造を行うベンチャー企業TruTag Technologies(トゥルータグ)に出資したと発表した。

昨今、トレーサビリティ(追跡可能性)の欠如による偽造、横流し、産地偽装、品質保証などがさまざまな業界で問題となっている。

トゥルータグのマイクロタグは、高純度粉末シリカ粒子の表面に、直径ナノメートル単位の同形状の穴を無数に形成したもので、ハイパースペクトルカメラで光を当てると、穴の形状ごとに異なるユニークな光の反射が起きる。そのため、これをコーティングやフィルム、塗料などに混ぜて製品に取り付け、その光の反射パターンと特定の製品情報をひも付けておくことで、さまざまな製品の認証・識別に応用することができるようになる。

  • タグの表面拡大イメージ

  • ハイパースペクトルカメラのイメージ

また、このマイクロタグは、目に見えないほど小さい、無害で食べられる、耐熱温度が高い(1000度)などといった特徴があるため、すでに錠剤や政府規制に基づくセキュリティラベルなどに使用されており、今後は、従来のバーコードやRFID、QRコードなどに替わり、よりさまざま製品への適用が期待されるという。

なお今回の投資は、Presidio Ventures SCOA Fundを出資母体とした、「R&D 共同ベンチャー投資支援制度」の第一号案件となる。同制度は、アーリーステージのベンチャー企業への投資について、現地でスピード感をもって判断し、住友商事グループの既存事業の高度化や新規事業開発の支援ツールすることを目的とするもの。

住友商事グループでは、トゥルータグが提供するトレーサビリティが上述の偽造、横流しなどの問題の改善策となると考えており、今後、既存ビジネスのプラットフォームにおいて、トゥルータグが持つ技術のさまざまな活用方法を検討していくという。