日本政策金融公庫は12月1日、2017年11月の中小企業景況調査の結果を発表した。調査は、三大都市圏の同公庫取引先900社(首都圏451社、中京圏143社、近畿圏306社)を対象に行なわれ、554社から回答を得た。調査時点は11月中旬。

業況判断

  • 「2018年の中小企業の景況見通し」 業況判断(前年比)

    業況判断(前年比)

2017年の業況判断DI(改善-悪化)は16.9と、2016年の1.9から15.0pt上昇した。「改善」と判断するうえで影響が大きかった項目をみると、「国内需要の動向」(79.7%)が最も高く、次点は「海外経済の動向」(32.8%)という結果に。「悪化」との判断に影響した項目では、「国内需要の動向」(88.4%)に次いで、「主要原材料等の仕入価格の動向」(36.0%)が高かった。

一方、2018年の業況判断DIは14.4と、2017年に比べて低下する見通しに。需要分野別にみると、建設関連や衣生活関連で上昇する一方、設備投資関連や乗用車関連、電機・電子関連で低下する見通しとなっている。

売上高DI(増加-減少)は、前年から1.6pt上昇の20.4。経常利益額DI(増加-減少)については、前年から4.1pt低下の11.3となる見通し。

販売価格DIは(上昇-低下)、前年から1.6pt上昇の9.1に。仕入価格DI(上昇-低下)については、前年比2.6pt低下の25.1になるとみている。

設備投資額DI(増加-減少)は2.0と、前年から4.9pt低下。従業員数DI(増加-減少)は、前年から10.1pt上昇の18.9となる見通しとなっている。

資金繰りDI(緩和-悪化)および貸出態度DI(緩和-悪化)、借入残高DI(増加-減少)は、前年より低下する見通しに。借入金利DI(上昇-低下)については、前年より上昇するとみている。

経営上の不安要素

  • 「2018年の中小企業の景況見通し」 今後の不安要素

    今後の不安要素

2018年の経営上の不安要素としては、これまで同様「国内の消費低迷、販売不振」(69.6%)が最も高い割合を占めているほか、「人材の不足、育成難」(2017年45.6%→2018年60.2%)や「原材料価格、燃料コストの高騰」(同37.4%→49.2%)などの割合が、前年調査に比べ大きく上昇している。

注力分野

  • 「2018年の中小企業の景況見通し」 経営基盤の強化に向けて注力する分野/来年に期待する要素

    経営基盤の強化に向けて注力する分野/来年に期待する要素

経営基盤の強化に向けて注力する分野は、「営業・販売力の強化」(66.2%)が最も高く、続く「人材の確保・育成」(同56.5%→62.8%)や「販売価格引き上げ、コストダウン」(同29.7%→32.5%)などで、前年調査より高い割合を示している。

2018年に最も期待する要素としては、「円安に伴う取引先の生産・調達の国内回帰」(17.0%)が最も高い割合を占めているほか、前年調査に比べ「2020年予定の東京五輪に伴う需要の発生」(同16.0%→16.5%)や「消費増税に伴う駆け込み需要の発生」(同7.2%→9.6%)などで上昇している。