STマイクロエレクトロニクスは、STM32F0マイクロコントローラ(マイコン)と、外付けMOSFETハーフ・ブリッジ駆動用ゲート・ドライバ(3チャネル)、3.3V DC/DCスイッチングコンバータ、および12VのLDO(低損失型リニア・レギュレータ)を統合したプログラマブル・モータ・コントローラである「STSPIN32F0A」を発表した。 同製品は現在量産中で、QFNパッケージ(7×7mm)で提供される。単価は1000個購入時に約1.605ドル。

  • 「STSPIN32F0A」

    「STSPIN32F0A」

「STSPIN32F0A」は、軽量かつ小型(7×7mm)のため、モータ制御の設計を柔軟に行うことが可能。48MHz駆動の内蔵マイコンとFlashメモリ(32KB)を搭載し、センサレスの120度通電制御、ベクトル制御、位置検出制御などのモータ制御アルゴリズムに加え、ユーザのアプリケーションを動作させることもできる。

また、広範な電圧範囲(6.7V〜45V)においての動作可能で、携帯型ロボットやジンバル、ドローンなどに使用される2セルLiPo(リチウム・ポリマー)バッテリのような小型電源でも駆動できる。これにより、電動工具や小型の生活家電(空気清浄機や小型冷蔵庫など)に加え、サーバ用の冷却ファンや3Dプリンタにも最適となっている。

設計者は、16チャネルのプログラム可能なI/Oピンとマイコン用のペリフェラルを活用することで、CPUの負荷を抑えながらモータの逆起電力や位置/ホール・センサのフィードバックを処理可能で、極めて低いモーター回転数まで高精度に制御できる。また、12bit ADコンバータ(9チャネル)と、シャント抵抗による電流検知などに使用可能なオペアンプ(3個)も内蔵している。

同製品はマイコンで制御されているため、STM32Cubeソフトウェア・パッケージ、STM32 Nucleoハードウェア、およびSTM32パートナー・プログラムの認定済みサードパーティ製品で構成されるSTの広範なSTM32オープンソース開発環境を利用できる。

また、STM32F0マイコンには、汎用タイマー(5チャネル)と各種インターフェース(I2C、 UART、 SPI)を搭載。ブート・ローダにアクセスできるため、無線通信によるファームウェアのアップグレードも可能となっている。

ゲート・ドライバICはチャネルあたり最大600mAの電流を供給でき、設計者は幅広い種類のパワーMOSFETを選択可能で、さまざまな定格のモータを駆動できる。内蔵のブートストラップ・ダイオードによる安定した起動が可能で、保護機能としてリアルタイムに設定可能な過電流保護、貫通防止、減電圧ロックアウト(UVLO)、過熱保護が組み込まれている。