火災保険料の負担を軽減する方法の一つが「免責金額」の設定。そもそもの「免責」の意味や免責金額の目安、免責を設定する必要があるかどうかの判断基準などについて解説します。

◆火災保険料は自己負担の額を設定すると安くなる
火災保険や地震保険など、住まいに関係する保険の負担が近年上昇傾向です。2015年10月の火災保険の改定では保険期間10年超の契約が売り止めとなり、保険料の負担増に拍車がかかっています。

そうした中、長期契約で保険料をまとめて支払う他に、保険料負担を軽減することができる方法の一つが「免責金額」の設定です。免責金額とは事故が発生した場合、あらかじめ契約時に決めた金額を自己負担する金額のこと。これを上手く活用すると、保険料負担を軽減することが可能です。

◆火災保険の免責金額とは?
「免責金額」とは前述のとおり、事故や災害などで損害が発生した際、自己負担する金額として契約時に設定する額のことをいいます。つまり設定した金額分の損害は自腹ということです。

仮に免責金額が3万円とした場合、損害が発生して損害が25万円だとすると3万円までは自腹で、損害額からそれを差し引いた分(22万円)について保険金が支払われます。保険金うちいくらか自腹で支払うため、その分は保険料が安くなるわけです。

◆火災保険の免責金額はいくらに設定できる?
損害保険会社や火災保険商品によって違いはありますが、最近の火災保険は免責金額を多少なりとも選択できるタイプが主流になっています。自由化前の各社の共通商品であった住宅総合保険などでは、火災保険の補償の一つである風災・雹災・雪災については、「損害が20万円以上になった場合に保険金を支払う」といった設定がありました。これも免責設定の一つでフランチャイズ方式といいます。

保険会社によってはこれを残しているところもあります。最近は各補償共通の免責金額を設定するものが比較的多くなっています(なお破損汚損の補償については免責金額0円にはならず、一定の免責が付帯するのが一般的です)。

また賃貸物件用の家財に付帯する火災保険などの場合、セットプランになっているためこのような補償内容のカスタマイズは苦手です。賃貸物件でこうしたことが必要であればセットプランではない火災保険に加入することが必要です。

いくつかの損保の建物に火災保険を付帯する場合の免責金額の設定方法を見てみましょう。主要な大手損保3社の火災保険の免責金額の設定は次のような金額構成になっています。

・東京海上 トータルアシスト  0円、5千円円、3万円、5万円
・三井住友 GKすまいの保険  1万円、3万円、5万、10万円
・損保ジャパン THEすまいの保険 0円、1万円、3万円、5万円、10万円

このように各補償の免責金額を0円あるいは1万円から10万円程度まで設定できます。当然免責金額が多くなれば保険料は安くなります。なお同じ損保でも火災保険の目的を建物にするか家財にするか、プランなどによって設定金額の種類は違うことがあります。

◆自然災害では別途免責設定をできるケースもある
風災・雹災・雪災については昔の火災保険のように20万円以上の損害があった場合に支払うとしたり、他の補償と別に10万円あるいは20万円などの免責金額の設定ができる損保があります。水災(床上浸水など)も同様に、免責金額というよりは支払基準(実損や定率など)を選べるケースもあります。

これは建物構造(マンションや一戸建てなど)でこうした自然災害の被害に強い弱いという違いがあったり、地域性なども火災保険には関係するためです。自分の住まいの周辺環境をよくチェックして免責金額の設定を検討してください。なお地震保険には、こうした免責金額の設定はありません。

◆火災保険に免責金額を設定する際のポイント
最初に不要と考えられる補償は削除(マンションの上階で水災削除など)、無理のない範囲で免責金額を設定します。このくらいの自腹なら大丈夫という範囲です。その上で削減できる保険料とのバランスを考慮して検討することがポイントです。理屈は簡単ですが、実際に活用するには条件があります。次にその詳細をみてみましょう。

◆発生する可能性が高い災害や事故に免責を設定しない
第一に、補償の削除や免責金額の設定をして問題がないか契約前にきちんと検証することです。まずは住居のある地域の周辺の状況確認をしましょう。雪国であれば雪害、台風がよく上陸する地域なら風災や水害、自宅裏に山があったり、近隣に川があれば土砂崩れや水害の可能性は否定できません。特定の災害や事故が発生する可能性が高いことが分かっているのであれば、それも考慮しておく必要があります。

◆設定した免責についてきちんと理解しておくこと
第二に、削除した補償や免責金額の設定についてきちんと理解し覚えておくことです。これらの設定は、火災保険に加入しているにも関らず保険事故があっても保険金の支払いに制限をつけるものです。

災害や事故があったの補償を削除したために、保険金が支払われないことは理不尽に感じるかもしれませんが、必要な補償に重点を置いてそうでない補償には多少なりとも制限つけて保険料を安くすることは合理的な保険の加入方法です。

この基本的な考え方を理解しないで、単に安くなるからと補償を安易に削除したり、免責金額の設定をすると保険事故発生の際にこんなはずではということになりかねません。免責金額を試算してみたら、このくらい安くなるなら免責ありでよしなのか、この程度の差額なら不要と感じるかという感覚的なお金の部分も大事なところです。

必要のない補償を削除したり、免責金額を住環境の実態に合せて、設定することで保険料を節約することが可能になります。火災保険料は値上がりに拍車がかかっているので、保険料の節約を考える際にはこうした考え方も選択の一つに入れてみるといいでしょう。

文=平野 敦之