NECは11月9日~10日、東京・有楽町の東京国際フォーラムにおいて、プライベートイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2017」を開催中だ。地下2階の展示会場では、約60の製品・ソリューション・サービスを展示している。ここでは、同社の得意分野である顔認証を中心に、生体認証ソリューションを中心に展示物を紹介する。

スマホの次のデバイスはヒアラブル?

ヒアラブルデバイスのプロトタイプ

同社が次世代のデバイスとして紹介していたのが、イヤホン型のヒアラブルデバイス(無線イヤホン)だ。

イヤホン機能のほかに、マイク、光学センサ、モーションセンサ、地磁気センサを搭載。通信機能としては、Bluetoothをもつ。耳穴からの反響音特性を利用した耳音響認証により生体ワンタイムパスワードで本人認証ができ、脈波・呼吸パターンにより、感情分析ができるという。

また、屋内地磁気を利用した屋内測位にも利用できる。一度、屋内を歩いて地磁気マップを作成する必要があるが、Wi-Fiやビーコンなど新たな設備を追加することなく、屋内の位置を測定できるのが特徴だという。現状の精度は約2mだ。

地磁気マップの作成

そのほか、モーションセンサーにより、歩数・姿勢・運動量を測定でき、ヘルスケアや見守りサービスに利用できるという。

用途としては、スマートキー、音声リモコン、パーソナルアシスタント、ドライバーの体調モニタリングなどは考えられるという。同社では2018年度の事業化を目指している。

NECはAPIを提供することを主目的にしており、デバイス開発を含めて他社利用を想定している。

音で異常を検知

会場では、悲鳴やガラスの割れる音などにより、異常を検知しようという研究も紹介されている。映像には映っていないが、何か異常が起こっていることを音で検知しようというものだ。悲鳴やガラスの割れる音を何パターンも取込み、その中の成分を抽出することで、対応できる音の範囲を広げているという。

工場などの設備の異常音を検知して、故障を事前に検知することも可能だという。

音は別途装置を設置して収集するのではなく、監視カメラのマイクを利用することを想定しているという。

新しい監視ソリューション

虹彩を利用した決済

虹彩で本人を確認して、決済に利用しようとソリューションも展示されていた。顔認証に比べてより精度を高く認証できる点や、マスクをしていても認証できるというのが顔認証に対するメリットだという。一方、カメラに近づかないと認証できないというデメリットもある。

虹彩を用いた決済端末

同社では、プールやスパ、スポーツジムなど、貴重品を所持していない場所での利用を想定している。

顔認証を利用した手ぶら決済

展示会場では、未来の店舗を想定した顔認証を利用したスマート決済を紹介。店舗入り口で本人を顔で認証。店舗内で商品を棚から取ると自動的に掲載カートに課金されていき、棚に戻すと課金が自動で取り消される。これは、商品の下に置かれた重さを検知するセンサーと、棚の上にあるカメラの2つで識別する。そして、出口では顔認証で合計金額があらかじめ登録されたクレジットカードによって決済されるという仕組みだ。

商品を手に取ったが、結局、買わなかったといった情報もわかり、マーケティング施策にも役立てることができる。

入り口で顔認証によりユーザーを認識

店舗を模した棚。商品の下には重さを感知するセンサーがある。左上の画面はカート

商品を棚から取ると、自動でカートに追加される

商品棚上にあるカメラ。こちらでも商品が取られたことを認識。センサーと2つでチェックすることで、誤検知を減らしているという

出口で再び顔認証で本人確認。画面の購入をタップするとあらかじめ登録されたクレジットカードで決済される