ネットアップは11月7日、都内で記者会見を開き、6月に発表したハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)「NetApp HCI」の国内提供を開始した。また、同製品のベースとなっているSolidFireのElement OSの最新版「Element OS 10」を発表した。

「NetApp HCI」の概要

NetApp HCIの説明を行った米NetApp Next Generation Data Center事業部 シニアディレクターのマーティン・クーパー氏は「第1世代のHCIは、データセンター(DC)の提供されるサービスをシンプル化するために誕生した。VDI(仮想デスクトップ)やIaaSをDCで展開する際、簡単に構築できたが、このようなアプローチは各HCIのインフラの中で1つのサービスを提供するものであることから、HCIのインフラの中で複数の作業を行うのは困難だった。本来、HCIの目的はDCのインフラをシンプル化することだったが、結果的に複数のインフラを構築するため、本来の目的に合致することができない状況となっている」と指摘した。

米NetApp Next Generation Data Center事業部 シニアディレクターのマーティン・クーパー氏

そして、同氏は「NetApp HCIは、これらの問題を解決した。アプリケーション導入に伴う不安を解消するためパフォーマンスを保証し、柔軟性と拡張性を備え、インフラを自動化することが可能だ」と、NetApp HCIの優位点を強調した。

NetApp HCIの優位点

NetApp HCIはオールフラッシュストレージ「SolidFire」がベースで、最小構成はシャーシ×2(ストレージノード×4、コンピューティングノード×2)で4RUからの提供となり、小規模、中規模、大規模の3種類を揃えた。

小規模のストレージノードはSSDが480GB×6、実効容量(削減効果が5:1~10:1の場合)が5.5~11TB(テラバイト)、NVRAMが8GB、コンピューティングノードはVMのコア数が16、VMのメモリ容量が256GB。中規模のストレージノードはSSDが960GB×6、実効容量(同)が11~22TB、NVRAMが8GB、コンピューティングノードはVMのコア数が24、VMのメモリ容量が512GB。大規模のストレージノードはSSDが1.92TB×6、実効容量(同)が22~44TB、NVRAMが8GB、コンピューティングノードはVMのコア数が36、VMのメモリ容量が768GB。いずれの規模もネットワークは25/10GbE(SFP28)が4、1GbE(RJ45)が2となる。

アーキテクチャは、コンピューティングノードのハイパーバイザーはVmware ESXi、ストレージノードはSolidFire Element OSを用いているため堅牢性が高く、エンタープライズクラスのさまざまなサービスを搭載できるという。

具体的には、高可用性、レプリケーション、データ保護、データ削減などの「統合データサービス」、ファイルサービス、オブジェクトサービス、バックアップ、スナップミラーといった同社の「データファブリックサービス」、Veeam、Commvault、VMware、Veritasをはじめとした「サードパーティサービス」の利用を可能としている。

NetApp HCIのアーキテクチャ

さらに、2台のシャーシと小規模構成からスタートし、ニーズに合わせた拡張、無停止アップグレードを可能としていることに加え、コンピューティングとストレージの個別拡張が可能なことから、パフォーマンス、容量、メモリ、CPUの増減を確認しながら拡張ができるという。

同製品の最も重要な要素であるストレージパフォーマンスを保証する理由について、クーパー氏は「SolidFireとVMwareを密に統合することで、アプリケーションのパフォーマンスを保証することができる。それぞれのワークロードがビジーな状態でもNetApp HCIであれば、各アプリケーションがパフォーマンスを向上できるよう個別にエンドツーエンドで保証することを可能としている」と説明した。

パフォーマンス保証の概要

最新のElement OS

一方、Element OSでは最新版となるElement OS 10を発表。最新版はNetApp SnapMirrorが利用できるようになり、同OSの搭載システムからONTAP搭載システムにデータ移行ができる。遠隔地のデータをデータ保護やリカバリなど災害対策への利用や、開発、分析、アーカイブの一元化などに利用を可能としている。

また、NetApp HCI、SolidFireオールフラッシュアレイ、FlexPod SFの各システムで同OSによりオンデマンドの拡張、APIベースの自動化、パフォーマンス保証などの機能を活用し、IT運用を効率化が図れる。ユーザーが柔軟に設定可能な新しいQoSポリシーにより、プライベートクラウド環境においてもパフォーマンスの管理ができるという。提供開始は2017年第4四半期(10~12月)を予定している。

ネットアップ 代表取締役社長の岩上純一氏は「顧客のDXを支援する中で、マルチクラウドの環境下で最大経済効果を得られるようなアーキテクチャを提供している。このような状況下において、互換性を持つソフトウェアや新たなハードウェアの開発は重要な戦略の1つだ」と述べていた。

ネットアップ 代表取締役社長の岩上純一氏