日立化成は、日立化成工業(蘇州)の開発センター内に、異方導電フィルム(ACF)のディスプレイ部材への実装、信頼性試験および解析を行う施設「インテグレーションラボ」を開設したと発表した。

異方導電フィルム「ANISOLM」

ACFは、ディスプレイ部材であるガラス基板、フレキシブルプリント基板等に配置された複数の電極を一括で接続する材料。同社はこれまで、急速に市場が拡大している中国、アジア地域の顧客に向け、日立化成工業(蘇州)、日立化成工業(東莞)および韓国日立化成電子材料等の拠点を活用した技術サービスを行ってきた。これらの拠点には従来、ACFと電極との接続状態等を観察・解析する設備はあるものの、ACFのディスプレイ部材への実装や信頼性試験を行う場合、顧客のディスプレイ部材を日立化成の日本の開発拠点に輸送する必要があったという。

今回開設された「インテグレーションラボ」には、ACFをさまざまな温度や圧力でディスプレイ部材に実装できる装置や、高温高湿試験、耐塩水試験等の信頼性評価を行う装置が導入された。実装から解析まで、ACFに関する一連の評価を中国国内で行うことができるため、ディスプレイ部材を日本に輸送する手間が省け、ディスプレイ開発期間を短縮することができるという。また、同ラボでは、顧客が一連の評価に立ち合い、議論しながら評価を進めることができることから、最適な実装条件を短期間で見出すことが可能になるということだ。

今後同社は「インテグレーションラボ」を中心に、中国や韓国の日立化成の拠点と連携し、ACFのアジア地域での拡販を進め、グローバルシェアの拡大を図るという。また、同ラボで見出された課題やニーズを、同社の日本の開発拠点と共有し、新製品開発につなげるという。さらに、同ラボに、スマートフォンメーカー、タッチパネルメーカーを招待し、次世代ディスプレイの協創をめざすということだ。