ジェイテクトは10月30日、「鉄鋼圧延機向け4列円すいころ軸受用オイルシール」を開発したことを発表した。

鉄鋼設備は、高温かつ水やスケール(高温の鉄を加工する際に生じる酸化鉄の被膜)にさらされるという過酷な環境で稼働する。そのため、軸受には重荷重、高速回転への対応力が要求されるとともに、過酷な環境に対応するオイルシールの密封性能が求められる。同開発品は、形状を工夫することで密封性を高め、水流入量や温度の低減を実現し、寿命向上、メンテナンスコスト削減に貢献するものであるという。

新開発品を装着した軸受

同開発品は、オイルシールのリップ部の形状をさまざまなパラメータに分けて分析し、形状を全面的に見直した。 これにより、ポンプ力(外部からの水・異物などを押し戻す力)を最大化し、軸受内部への水浸入量を従来比70% 以上低減することに成功、潤滑性悪化による突発的な軸受の損傷を抑制することができる。

水侵入量の比較

ポンプ力の図解

また、オイルシールリップの温度を従来比で約30% 低減したことで、鉄鋼設備向け軸受用のオイルシール素材として一般的で安価なNBRの使用温度内で適用できる範囲が拡大する。そのほか、定期交換が必要とされるオイルシール自体の長寿命化により、メンテナンスコストの削減に貢献する。

リップ温度の比較

なお、同開発品の量産開始は2018年7月としており、同品を採用した軸受の販売目標は、年間2億円としている。