デルは、日本におけるシンクライアントビジネスを加速する。中核となるのは、Dell EMC VDI Complete Solutionsだ。これは、インフラストラクチャとソフトウェア、シンクライアント、サービスを、エンド・トゥ・エンドで提供することが可能なVDIソリューションだ。

米デル クラウド クライアントーコンピューティング事業本部 セールス担当 グローバルバイスプレジデントのランス・ポウラ(Rance Poehler)氏は、「デルとEMCとの統合によって、これまでのシンクライアント単体に留まらないVDIソリューションを提供できる。顧客にとってはシンプルな構成で、月額課金による導入が可能になり、パートナーにとっては付加価値型ビジネスを展開できるようになる」としながら、「日本では、働き方改革の進展にあわせて、シンクライアントがますます重視されるだろう。デルにとって大きなビジネスチャンスがある」と語る。

米デル クラウド クライアントーコンピューティング事業本部 セールス担当 グローバルバイスプレジデント ランス・ポウラ(Rance Poehler)氏

ポウラ氏は、2016年にデルに入社する前には、パナソニックで24年間勤務。パナソニックノースアメリカの一部門であるパナソニックシステムコミュニケーションズで社長を務めるなど、日本企業の動向や市場についても精通している。「日本の市場こそ、シンクライアントが適している」と語るポウラ氏に、デルのシンクライアントビジネスの取り組みについて聞いた。

デルは、2012年に、シンクライアントベンダーのWyse Technologyを買収し、それ以来、この分野において、積極的な投資を行ってきた。調査によると、2017年上期におけるデルのシェアは、25.2%と首位。

「デルのリソースを活用することで、最先端の技術を製品のなかに取り込むことができるようになっている。それが、シンクライアント市場におけるデルの存在感を高めている」と、ランス・ポウラ氏は語る。

たとえば、Wyse 3040シンクライアントは、手のひらサイズの筐体でありながら、Intel Atom x5-Z8350(クアッドコア1.44GHz)を搭載。10w以下の低消費電力で、最新のWyse Thin OS 8.4を稼働させることができる。また、Latitude 5280は、第7世代のインテル Core i5-7300U(デュアルコア、2.60GHz)を搭載したモバイルシンクライアントで、オプションで4Gにも対応。エンタープライズクラスの性能をモバイル環境でも利用できるようにした。

Wyse 3040シンクライアント

「日本はモバイルクライアントでは、世界最大の市場だといえる。その市場に最適な製品となる。こうした最新製品の開発においては、インテルとの緊密な連携によって、最新のCPUを搭載したり、NVIDIAとの協業により、Windows 10をベースにしたシンクライアント環境へ移行する際にも、最適なパフォーマンスを提供できるようにしている」とする。

さらに、最新のThin OS 8.4では、管理機能を強化。Wyse Endpoint Management Software(WEMS)により、複数のレイヤーに分かれていた管理環境を統一したほか、VMware Horizonクライアントを利用する際には、より高度なグラフィックエクスペリエンスを実現。シトリックスユーザー向けには、Citrix HDX RealTime2.2をサポートし、ユニファイドコミュニケーション機能を強化した。

「VMwareは、デルのグループの一員ではあるが、デルのシンクライアントビジネスは、VMwareやシトリックスなど、様々な選択肢を提供する姿勢が基本。常に中立的な立場を取っている」と語る。