「この会話、(こっそり)録音したい…」

そう思った経験のある人は多いのではないだろうか。筆者は何度もある。

別にやましいことをしたい訳ではない。ライターという職業柄もあるが、会話をメモ代わりに録音したいのに、あからさまにICレコーダーを出すと話の相手が落ち着かないとか、本音を話してくれないという場合には、悟られないように黙って録音できると便利……という話がしたいのだ。

もちろん、隠す必要のない場面でも、ICレコーダーは小さいに越したことはない。持ち運びしやすいし、取材時は机の上がスッキリしていたほうが、取材する側もされる側も気が散らなくなる。会話を録音されることに慣れていない人と話す際は、相手に余計な緊張を与えずに済む。

ICD-TX800。左が本体で右がリモコン

ソニーの「ICD-TX800」は、こうしたニーズにガチッとハマる、コンパクトで軽量なICレコーダーだ。価格はオープンで、実売価格は税別21,470円(10月23日時点のAmazon価格)。スペック等は別記事を参照のこと。

使ってみたので、早速実用性のほどを紹介したい。

パッケージの主な内容物

この形状だからできること

ICD-TX800は本体が38mm角の正方形デザインになっており、厚さは13.7mm、重量は22g。写真のとおり指先でつまんで手のひらですっぽり覆えるサイズだ。

ICレコーダー本体。本体側には液晶画面と、REC(録音)、STOP(停止)ボタン、POWERとHOLDのスライドが用意されており、側面にはUSBのコネクタも搭載する

ほぼ同じ大きさのリモコンが付属する。操作は感覚的で迷うところは少ない。録音ボタンを押すだけですぐに録音を開始し、終了もワンボタン。開始時と終了時に電子音なども鳴らない。指定時間後に録音をスタートするタイマーも備えている。

触っていてこれは芸が細かいと感心したのが、REC(録音)ボタンだけがSTOPやOPTIONよりも深くえぐられていること。慣れれば手探りで操作できる。つまり、リモコンをポケットの中に入れたまま操作できるのだ。

リモコンも小さい。REC、STOPのほか、BACK HOME、OPTIONのほか、上下左右の方向ボタンを備える。方向ボタンの左右は早送りと巻き戻しに対応する。側面にはHOLDやT-MARK、VOLなどが備わっている

これだけ小さいとカバンに入れたときに見失ってしまいそうだが、ポケットに引っ掛けるクリップが備わっており、キャリングケースも付属するので安心だ。

キャリングケースには本体、リモコン、イヤホン用の変換ケーブルが入る。イヤホンが入らないのは片手落ちの印象だが、「普段はウォークマンで使うからここには入れないよね」という配慮だったりして?

もちろん、ズボンのポケットにも余裕で入る。それどころか、ポケットに入れた状態で録音するための「ポケット」モードも備わっている。布ズレなどの音を抑え、くぐもりがちな声も明瞭に拾うモードだ。

例えば、上着やカバンの外ポケットにICレコーダー本体を入れておき、ズボンのポケットの中でさりげなくリモコンを操作して録音、といった使い方が想定される。これを開発した人はなぜここまでさりげなく録音することに情熱を注げたのだろうかと、いらぬ妄想が膨らむものだ。

クリップでデニムの小銭入れに引っ掛けたところ。この上からシャツを下ろせばレコーダーを装着しているとはまず誰も気が付かない

細かい設定はスマホでも

ICD-TX800はスマートフォンからの操作にも対応する。専用アプリ「REC Remote」をスマートフォンに導入することで、画面を見ながら録音状況のチェックや録音設定の変更などが行える。ICレコーダーを堂々と出すのははばかられるけど、スマホを触るのは不自然じゃない、というシーンに適しているかもしれない。さて、これを開発した人はなぜここまでさりげなく録音することに情熱を……(以下略)。

専用スマートフォンアプリからの操作も可能。iOS版とAndroid版を用意する

シーンセレクトやマイク感度設定、録音モードや録音フィルダーなど細かく調整できるので、周囲を気にしなくて良いならばスマートフォンで操作した方が便利だ