2017年10月18日から21日にかけて愛知県のポートメッセ名古屋にて開催されている西暦奇数年における国内最大規模の工作機械展「メカトロテックジャパン2017(MECT2017)」において、ファナックは、同社が強力に推進しているIoTにより製造の最適化を実現する「FIELD system」の紹介のほか、ワイヤカット放電加工機であるロボカットα-CiBシリーズの加工精度を高める機械学習による「AI(人工知能)熱変位補正機能」や超精密マシニング系ナノ加工機「FANUC ROBONANO α-NMiA」といった最新技術や装置の紹介を行っている。

機械学習によるAI熱変位補正機能とは、加工機の内外に複数搭載された温度センサから得られるデータと機械学習を組み合わせることで、従来の熱変位補正機能を向上させるもの。機械学習の活用により、補正精度が従来機能比で30%向上し、温度変化に対しても安定した補正が可能になることから、安価に高精度化を実現することが可能になると同社では説明しており、オプション機能として11月より受注を開始する予定としている。また、ロボドリル版の「AI熱変位補正機能」についても開発を進めているとのことで、こちらも近々提供開始する予定だという。

「AI(人工知能)熱変位補正機能」を搭載したワイヤカット放電加工機「ロボカットα-CiBシリーズ」のデモの様子

加工機の内外の各所に温度センサが配置されている。画像は加工機の外部に設置された温度センサと、それが分かるように貼られた矢印。どこに設置されているのかは、実際にその目で確かめていただきたい

一方のROBONANO α-NMiAは、A4サイズの加工を実現しつつ、高剛性油軸受と0.1nm指令により精度と効率を向上させたもの。従来は1nmの分解能であったが、0.1nmへと向上させたことで、みがきに匹敵する表面加工を実現。主にハイテク機器部品で求められる高精度加工のニーズや、みがきが許されない加工ニーズなどへの対応を可能としたものとなっている。

「ROBONANO α-NMiA」のデモの様子。1つの大型パネルで操作が可能

実際、同社のブースでは、加工された見本が複数展示されていたが、みがきを施しているのかどうかわからないほどに表面が加工された様子を見ることができた。

「ROBONANO α-NMiA」にて加工を行った見本。磨きなしで、ここまでの表面ができる