ANSYSの日本法人であるアンシス・ジャパンは10月5日、産業の垣根を超えた最新のシミュレーションソリューションを提案するカンファレンス「ANSYS DAY 2017 - Beyond Innovation. エンジニアリング新時代へ」を東京にて開催。併せて2017年1月よりANSYSのPresident and CEOに就任したAjei S.Gopal氏が、報道陣に対し、ANSYSのこれからの方向性についての説明を行った。

2017年1月よりANSYSのPresident and CEOに就任したAjei S.Gopal氏

製品の性能を司る半導体の高性能化などに起因するシステムのスマート化や複雑化が進む昨今だが、エンドユーザーのエクスペリエンスの向上に向け、開発エンジニアには、製品開発の短縮、新商品の発売までの期間の短縮、そして製品ラインアップの拡充といった課題が突きつけられ、その作業負担は増す一方となっている。こうした課題に対し、同氏は、「物理、数学、コンピュータサイエンスをまとめ、現実の世界でどのような挙動をとるのかをデジタル上で知ることができるシミュレーションこそが、そうした課題を解決するソリューションとなる」とする。

従来、シミュレーションは専門のエンジニアが、個々の物理特性の解析やコンポーネントの設計時などに活用してきた。しかし、今後はシミュレーションの活用範囲は、「Pervasive simulation」として、あらゆるタイプの製品のあらゆる場面で活用されるようになると同氏は語るが、この方向性は、これまでの同社の取り組みを踏襲するものと言える。同社は、これまでも、シミュレーションのさらなる使い勝手の向上を図ることで、解析エンジニアのみならず、幅広いエンジニアにシミュレーションを活用してもらう取り組みを進めてきたが、こうした発言からは、そうしたこれまでの同社の事業を継続して、発展させていくことを強調するものと言える。

製品エンジニアが、開発期間の短縮や品質の向上、複雑さの管理といったことを解決するために活用してきたのが、これまでのシミュレーション

では、今後の同社のシミュレーションは、どのような方向に進むのだろうか。同氏は、同社の現状を「構造シミュレーションからスタートし、流体、電磁界、半導体、そしてセーフティクリティカルな組み込みソフトウェアへと対象範囲を広げてきたが、単に範囲を広げるのではなく、統合的なアプローチにより、1つのプラットフォームでさまざまな物理特性を活用できる点が強みとなっている」と表現。これからのミッションも、カスタマが先進的な製品を設計・製造できるように支援していくこととし、製品開発のコンセプト段階からのシミュレーション活用や、製品が市場に流通し、エンドユーザーが活用を始めた後でのシミュレーション活用なども含めた、幅広い展開を図っていくことを強調した。

これまでのシミュレーションは、活用の範囲が限定的であったが、同社では、今後、その活用範囲の拡大に向けた取り組みを従来以上に積極的に行っていくことで、より多くのエンジニアがシミュレーションを活用する世界を構築したいとする