オートデスクは、同社のカンファレンス「AU JAPAN 2017」にて、同社の3D CADデータを活用し、スターバックスの店舗をVRで体験可能とするブースを出展した。

スターバックスから、Revitのデータを「Autodesk Live」を使って変換した状態で提供を受け、オートデスク社内で「Autodesk Stingray」を使って、リアルな質感にしたものををVRコンテンツとして披露した

同ブースは、BIMソフトウェア「Autodesk Revit」を利用して店舗設計を行っているスターバックスと、ワークステーションを提供したデル、GPUを提供したNVIDIAの協力で実現したもの。実際に設計時に用いられたBIMデータを、クラウドサービス「Autodesk Live」を使ってVRコンテンツに変換している。

同じ3DCGデータでも、BIMデータとVR用のそれでは作り方が異なり、VR用のデータを普段建築設計を行っている技術者が制作する手間は大きなものになる。そのギャップを埋めるために生まれたのが「Autodesk Live」で、これを用いて作られたVRコンテンツは、すでにプレゼンテーションや設計や施工におけるコミュニケーションに活用されている。

複数人でひとつのデータ内を周遊することも可能。相手は青色の人影で表示される(画像左)

今回のブースで体験したような、質感や陰影がリアルなVR用データを作成するにはさらに大きな手間がかかるが、「Autodesk Live」と「Autodesk Stingray」を組み合わせたワークフローにはデータ変換が必要ないため、かなりの工数を削減可能であるという。

VRコンテンツ内では、店内を周遊するほか、カウンターに置かれたマグカップを持ち上げて任意の場所へ置くこともできる。その際、陶器を軽く打ち付けたコツンという感触がしたり、またイスやテーブルに当たったりすると鈍い触感がコントローラーの振動によってフィードバックされた。これは、オートデスクで開発中のプロジェクトテンプレートによるものだ。

今回の展示を担当した同社の梅澤孝司氏は「スターバックス様はかなり細かくデータを作り上げていらっしゃいます。弊社側では、展示に際してサーフェスの質感やライティングのみ変更させていただきました」と語った。

BIMデータを作り込んで内装設計を行うスターバックスでは、「Autodesk Live」の利点がフルに発揮されているようだ。実際、VRゴーグルで店内を周遊したところ、その店舗に対して受ける印象の多くを仮想データ上で得られたように思われた。VRという新技術が徐々に広がるなかで、技術者の負担が少なく、かつ顧客に伝わりやすいプレゼンテーション方法がより広がっていくことが望まれる。