横河電機は、同社で開発中のIndustrial IoT(IIoT)アーキテクチャを活用した「ポンプ遠隔監視サービス」の概念実証(PoC)をイワキと連携して開始すると発表した。同連携により、サービスの市場価値の検証と実際のサービスメニューの検討を行う。

同サービスは、化学プラントの化学薬液の移送や食品プラントの液体輸送などで活用されているイワキ製のマグネットポンプの稼働状況を遠隔監視できるというもの。イワキの「ポンププロテクターDRN」で収集した、ポンプの電流値、ポンプ運転時に変化する吐出圧力・流量、移送液温度などのデータやタンクの渇水の情報を、横河電機が現在開発中のIIoTアーキテクチャのクラウド基盤上で収集し、現場の設備管理者は設備の付近のみならずプラントの敷地外からでもデータにアクセスできるようになるという。

ポンプの遠隔監視サービスのシステムイメージ

これにより、ポンプ設備の稼働状況を遠隔から監視できるようになるため、関係者と連携しながら予防保全業務を行い、より総合的に判断し対策を講じることや、サービスをポンプメーカーが自社のメンテナンスサービスに応用することが可能となる。また、複数のポンプの稼働状況を遠隔監視できることに加え、警報値を設定することで、ポンプの異常時にはメールなどで設備担当者やメンテナンス担当者に通知することができ、迅速な対応が可能になるという。

横河電機が開発中のIIoTアーキテクチャでは、センサからLPWANなどの無線通信やアナログ/デジタル通信インタフェースを通じてIoTゲートウェイにデータを収容し、ゲートウェイから携帯電話回線網や固定回線網を介してクラウドにアクセスすることができる。利用者側での煩雑な設定がなくセンサや機器をクラウドに接続でき、データにアクセスできる仕組みを目指しており、これによりユーザーは、プラグ・アンド・プレイによる機器の自動登録からデータ転送、リモート制御、アラーム通知などを一貫して利用できるとしている。

なお、今回PoCを行うサービスは、「ポンププロテクターDRN」を介して、イワキ製以外のポンプにも適用可能となる予定。今後、PoCを通じて同サービスの市場価値の検証とサブスクリプションモデルでのサービスメニューの検討を進め、早期のサービス提供を目指すとしている。