愛媛大学は、妊娠中の「健康型」及び「日本型」食事摂取パターンが妊娠中うつ症状と予防的な関連があることを示す研究成果を発表した。

食事摂取パターンと妊娠中うつ症状との関連(出所:愛媛大学プレスリリース)

同研究は、愛媛大学が主導する、国立保健医療科学院、東京大学、琉球大学との共同研究チームによるもので、同研究成果は、8月30日に学術誌「Journal of Affective Disorders」の電子版に掲載された。

これまでに同研究チームは、魚介類、ヨーグルト、海藻、大豆、魚介類由来n-3系不飽和脂肪酸、カルシウム、ビタミンD、イソフラボン及びマンガン摂取が妊娠中うつ症状と予防的な関連があると認めてきた。今回の同研究は、習慣的な食品の摂取状況を総合的にとらえる、食品摂取パターンと妊娠中うつ症状に関する疫学研究となる。

同研究チームは、まず、九州・沖縄母子保健研究のベースライン調査に参加した1744名の妊婦を対象として分析を行い、Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)の16点以上をうつ症状有りと定義した。年齢、妊娠週、居住地域、子数、家族構成、うつ既往、うつ家族歴、喫煙、受動喫煙、職業、家計の年収、教育歴、BMIを交絡因子として補正を行った結果、妊娠中うつ症状の有症率は19.2%となった。

その後、食品摂取パターンを分析したところ、33食品群から因子分析により「健康型」、「日本型」、「西洋型」の3タイプのパターンが導き出された。「健康型」は野菜、きのこ類、豆類、海藻、いも類、魚介類、みそ汁、砂糖類の摂取が多く、菓子類、パン類の摂取が少ない。「日本型」は米、みそ汁の摂取が多く、コーヒー、乳製品、砂糖類、菓子類、パン類の摂取が少ない。「西洋型」は肉類、植物油脂類、卵、調味料の摂取が多く、パン類の摂取が少ない。

各食事パターンの度合いを4等分して解析すると、「健康型」食事摂取パターンの度合いの最も低い群に比較して、2番目、3番目、4番目いずれの群でも有意に妊娠中うつ症状の有症率が低下していた。「日本型」食事摂取パターンでは、3番目と4番目の群で有意に妊娠中うつ症状有症率の低下と有意な関連が認められた。なお、「西洋型」食事摂取パターンとは関連が認められなかったということだ。

同研究チームは、この研究結果に対し、「健康型」及び「日本型」食事摂取パターンが妊娠中うつ症状に予防的なのかもしれないと分析した。今後、更なる研究データの蓄積が必要となるが、食習慣の変容により、妊娠中のうつ症状を予防できる可能性を示す結果になったということだ。