京都大学(京大)のCenter of Innovation(COI)とパナソニックは9月26日、共同で、離れたところから高精度に心拍数と心拍間隔を計測できる非接触型の生体情報センシングセンサの小型化、高感度化に成功したことを発表した。

両者はこれまで、パナソニックのスペクトラム拡散ミリ波レーダー技術によって呼吸や心臓の鼓動による人体表面のわずかな動きを高感度に捉え、京大が有する独自のアルゴリズムによって、レーダー信号から、呼吸信号、心拍信号を分離し、平均心拍数だけでなく心拍間隔までリアルタイムで推定する研究を進めてきており、2016年1月に60GHz帯を用いるプロトタイプ機を用いた原理検証を実施していた。

今回の研究では、60GHz帯から79GHz帯へと周波数帯を引き上げ、ミリ波レーダーをCMOS技術で1チップ化することで、測定感度の向上とレーダーシステムの小型化の両立を実現した。その結果、サイズは2016年1月20日に発表したものに比べて1/10に小型化したほか、複数の人物を同時に計測する場合、互いに離れる必要がある距離を7.5cm程度と従来比1/8まで縮めることができたとしており、その結果、今回のセンサでは、これまで不可能だった複数の人物の心拍間隔を同時に計測することも可能になったという。

なおパナソニックでは今後、今回の小型プロトタイプ機を用い、2018年度に保育施設などで予定されている実証実験を経て、さまざまなアプリケーションの検討を進めていく予定としている。また、複数のレーダーを用いた家まるごと、施設まるごとのトータルシステムの研究・実証を進めていくことで、同技術の社会実装を加速させていく計画としている。

小型化・高感度化された被接触型のミリ波バイタルセンサ