日本マイクロソフトは9月15日、AIに関するプレスラウンドテーブルを開催。同社のこれまでのAI研究の取り組みを紹介するとともに、最近のトピックを改めて紹介した。

マイクロソフトのAI研究は、1991年に開設された社内研究機関「Microsoft Research」を中心に行われてきたが、同社は昨年9月に、他の組織に分散していたAIの研究組織を統合し、「Microsoft AI and Research グループ」を設立した。このグループは社内の研究所、そして、Bing、Cortana、Azure Machine Learning などの製品グループから、約7,500名のコンピュータ サイエンティスト、研究者、エンジニアを集結した。

日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者 榊原彰氏

日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者 榊原彰氏は、「マイクロソフトは、売上の12~14%、およそ1兆円をR&Dに投資しており、AI研究はMicrosoft Research設立当初から研究の中心であった。その成果は、スパムフィルター、地図の経路最適化、モーションセンサーなどに搭載して製品化してきた。それがいま、さらに加速している。その背景には、クラウドが進展し、使えるリソースが無尽蔵に増えたことと、深層学習が進化し、ニューラルネットワークを取り入れ、システムの学習機能が飛躍的に伸びている点がある」と、同社がAIに多く投資を行っている点を強調した。

マイクロソフトの研究開発費

マイクロソフトの25年のAIへの取り組み

同氏は研究技術が製品になるまでのプロセスには、研究、開発、事業化、市場投入の4つがあるとし、研究/開発には高度な専門性、差別化できる技術などのテクノロジーのイノベーション、事業化/市場投入には、コストを下げる、少ない工程でのスピーディな製品の投入というプロセスイノベーションが必要だとした。

製品化までのプロセス

しかし同氏によれば、最近は世の中の早い動きに合わせて製品化を加速する必要性が出てきており、開発の部分に事業化/市場投入のプロセスを取り込み、まずは市場投入は最小限で始め、そのフィードバックを製品に反映して改善していく「リ-ンスターットアップ(Lean Startup )」を取り入れている企業が多いという。そのためには、開発からリリースまでの期間を短縮する必要があり、DevOpsを取り入れ、アジャイルな開発を推進する必要だとした。

製品化までのプロセスがリ-ンスターットアップに変化

そして、同氏はマイクロソフトのAIの製品化の方針について、次のように説明した。

「マイクロソフトはAIの民主化をコンセプトにかかげている。その意味するところは、リーズナブルなコストで誰でも使い易く、すべての業種に提供していくのがマイクロソフトのスタンスだ。CEOのサティアナデラも、AIは人間の仕事を置き換えるものではなく、人間の能力を補助する、支援するためのものだといっている。マイクロソフトはクラウドファースト、モバイルファーストを推進しているが、最近はこれにAIを加え、インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジにコンセプトを変更している。今後はこの方針にしたがって、製品、サービスを提供していく」(榊原氏)

そして同氏は、AIを組み込んだ同社の製品を紹介した。