来年以降に期待が持てる発表内容

今回の発表は、事前の噂とほぼ一致する形ではあったが、Apple Watch Series 3にせよiPhone Xにせよ、非常に意欲的な新製品だったというのが素直な感想だ。

例えば通信機能搭載のスマートウォッチは、LGやサムスンらが実現済みであるように、個別の要素だけ見ていけば先んじた製品はある。しかしAppleは、きちんとシステムと統合され、ソフトウェアにより活用される形をとっている。単なる機能の提示にとどまらず、使い方を提案している点は、久々にApple的だと感じた (ここ数年でAppleが発表した機能のうち、3D TouchやTouch Barなどは、正直そこまで必要性を感じられていない筆者だ)。

ジョブズの没後、ここしばらくのAppleはいまいち精彩を欠いていたように思う。あるいは、稀代の天才の名を汚すまいとして、経営陣が萎縮した結果だったのかもしれない。しかし今年のWWDCで発表されたiMac ProやHomePod、そしてiPhone Xなどを見るに、徐々に「ジョブズの遺したAppleらしさ」が社内で消化され、血肉となって再び行き渡りつつあるように感じる。

Appleの本社機能がジョブズの遺産たるApple Parkに移り、多くの社員がその影響を受けながら業務を行うようになれば、さらにそのDNAが根付き、製品に影響を与えることになるだろう。そういう意味では、今回の新製品たちはまだまだその端緒に過ぎない。来年以降に登場する製品にさらに期待がかかる、そんな発表内容だった。