トヨタ自動車のピックアップトラック「ハイラックス」が日本市場で13年ぶりに復活する。日本では今でも主に作業用で9,000台が保有されているクルマで、復活を望む声に応える形でトヨタもハイラックスの日本市場導入を決めたわけだが、実は同社が狙っているのは買い替え需要だけではない。

日本では13年ぶりの復活となる新型「ハイラックス」

タフさと荷台が特徴、日本では珍しいピックアップトラック

1968年の発売以来、約180の国・地域で累計1,730万台が売れたハイラックス。今でもグローバルでは年間50万台程度の販売台数がある。日本では6代目までモデルチェンジを続けたが、そこまで台数が稼げるクルマでもなかったことから、7代目は海外のみの販売となった。日本でも発売が決まった今回のハイラックスは8代目だ。

日本で販売されたハイラックスの系譜(左)。海外ではアジア、中近東、中南米などの地域で多く売れている

このクルマの特徴は、どんな環境でも走行できるタフネスにある。8代目の開発では、高温、低温、オフロードなどの過酷な環境でテスト走行を重ねたという。もちろん、汚れたものでも気兼ねなく積み込める荷台もピックアップトラックならではの設備だ。

パワートレインは低回転域でも高トルクを発揮する2.4リッターディーゼルエンジンを搭載。燃費は1リッターあたり11.8キロとなっている。「X」と「Z」の2つのグレードがあり、価格は税込みでXが326万7000円、Zが374万2200円。日本での販売目標台数は年間2,000台としている。

荷台は高さ480mm、開口幅1380mm、最小床面幅1105mm、最大床面長1565mm。パンフレットの写真を見る限り、キャンプ道具や自転車などを積んでも容量的には余裕という感じだ

新型ハイラックスお披露目の場となったPRイベントには、開発責任者の前田昌彦チーフエンジニアが登場。なぜ今、日本市場でハイラックスを復活させるのかという、最も気になるポイントについて自ら語った。

前田氏によると、日本復活を決めた最たる理由は、既存ハイラックスユーザーに後継車を届けるため。これはメーカーとして当然の判断だと思うが、注目すべきはもう1つの理由だ。年間2,000台の販売目標となっている新型ハイラックスだが、これが上振れするかどうかの鍵を握る新たな市場についても、もう1つの理由で語られた。