ミズノは9月4日、野球ボールの回転を解析するシステム「MAQ(マキュー)」を開発し、プロトタイプを完成させたことを発表した。

野球ボールの回転を解析するシステム「MAQ」

近年、野球界では、投手の投球パターンや打者の打球の方向など、選手の傾向を科学的に分析し試合の戦術に活用することの重要性が増している。しかし、従来、回転数を計測するためには大掛かりな計測機器が必要であった。

同システムは、硬式球と同じ仕様(質量、バランス、材質)のボール中心部に回転検知およびスピード測定用のセンサー「MIセンサ」を採用。 ボール回転に伴う微弱な地磁気変動を高速測定することで、回転数に関する詳細なデータを取得し、毎秒50回転に迫るプロ野球選手の投球を検知可能だという。また、同センサーの特長である、小型・低消費電力を活かし、センサーモジュール全体の小型化を図ることで硬式球の中心材部分への内蔵を実現したとする。

公式球と「MAQ」の比較画像

また、センサーをカプセルおよびシリコーンゲルで固定することで、耐衝撃性を高めた構造だとなっている。さらに、カプセル内には、日立マクセルのコイン形リチウム二次電池を採用し、共同開発中のワイヤレス充電器に置くだけで充電でき、繰り返しの使用が可能だ。

なお、同社は、同システムについてプロ野球・大学野球などでの実証テストを行い、2018年春の販売に向けてさらに研究開発を進めていく。また、「MAQ」のようなセンサー技術を活用したビジネス展開を加速させ、硬式野球ボールだけでなく、ソフトボールなどさまざまなボールへの応用を目指していく。 製品化後の販売価格は、本体1万9,800円、充電器1万5,000円を想定しているとのこと。