筆者はモバイル関連のテクノロジーに関して「Apple待ち」という現象を観測している。既に登場しているテクノロジーやハードウェアであっても、Appleが取り組んで初めて市場のメインストリームに上るというものだ。

古くは一体型コンピュータ、ミュージックプレイヤーにはじまり、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、ワイヤレスヘッドフォン、ホームスピーカーといった製品カテゴリがこれにあたる。またUSB、LTE、モバイル向け64ビットプロセッサ、音声アシスタントといった技術、そしてアプリストアや購読型音楽サービスなどのビジネスモデルもそうである。

いずれも、Appleが先駆けではなかったが、的確なタイミングでより良い体験に仕立てて紹介し、販売台数、あるいは収益を確保していく。これがAppleのやり方であり、Tim Cook時代に入り、より洗練された格好で実践されている戦略だ。

Appleが市場に対してその技術やカテゴリ、サービスの必要性を敷衍し、他の企業がより良いサービスを提案したり、アクセサリメーカーの参入によって多様な製品と低価格を実現していく。結果として、競争が過熱する。これが「Apple待ち」と、その展開による市場の変化の中身だ。

今回の発表会や既にアナウンスされているOSのアップデートによって、どんなApple待ちが実現しそうなのだろうか。