九州大学(九大)は、航空機や自動車のエンジン部品などに使用されるニッケル基超耐熱合金「インコネル718」を高成形性に改質し、さらに大量生産できる工法「遂送法」(高圧スライド加工後に順次試料送りを行う工法)を開発したと発表した。

同成果は、同大大学院工学研究院カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)の堀田善治 主幹教授の研究グループと、長野鍛工によるもの。詳細は、8月29日に京都で行われた「先端材料国際会議(IUMRS-ICAM)」にて公表された。

高成形性ニッケル基超合金(インコネル718)の大量生産を可能にする遂送技術。(a)一次元的に改質領域を拡大(b)二次元的に改質領域を拡大 (出所:九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所)

インコネル718は、その加工のしにくさから、実用サイズでの構成形成を確保することが難しかった。研究グループは、これまで独自の高圧スライド加工技術で成形性の向上が実現できることを示していたが、それをいかに大容量化するかが課題となっていた。今回、高圧スライド加工後に順次試料送りを行う遂送法により、実用サイズまで大きくすることに成功した。

同成果は、チタン合金(F1295)にも適用できることが確認されており、自動車、航空機、医療機器など幅広い市場で今回の研究開発成果の適用が期待できるとしている。