出られたことが幸せな映画

――もともと歴史好きで、司馬遼太郎作品も好きだったという岡田さんですが、お話が来た時の心境はいかがでしたか。

原田監督が何十年も実現させたいと思われていた企画だという噂も聞いていましたが、規模の大きな企画なので実現しない可能性もありますし、なくなるかもしれないなと思っていました。そのうち台本が来て、撮影に入れるとなり、原田監督とお仕事させてもらえる幸せを感じながら現場にいました。この『関ヶ原』という作品は、自分が出演してなかったとしても観に行くと思うので、出られて幸せです。

――完成した作品をご覧になって、どのような感想でしたか?

この規模の戦闘シーンって、日本でできないと思ってたんですよ。それが実現できていることと、出演できていることに幸せを感じますし、このような映画ができているということに泣ける思いでしたね。

若い頃に歴史ものができるようになった方がいいと先輩方に言っていただいて、乗馬クラブを紹介していただいたり、時代劇を演じる上での心の在り方を教わったりしていたから、先輩方から学んだことを、形にできているという喜びを感じています。

――先輩の言葉で、印象に残っているものなどは。

「格好に負けるから、負けない心の強さが一番」ということを教わりました。ナチュラルにやるだけが芝居じゃないぞ、と。「時代劇の扮装にあった芝居の仕方があるから、そこも極められるように頑張りなさい」と言われて。武術もやっているので、着物や甲冑の文化を多少なりわかってる方だと思うので、そういうのも込めて演じています。戦国時代は男たちの美がシンプルで深い時代なので、そこは意識して演じていました。

――これからも本格時代劇に出演されていくんですか?

先輩方から託された思いもありますし、自分で勉強してきたものもあって、出演させてもらえるのは幸せなことだと思ってはいます。かといって現代モノをやりたくないわけではないので、バランスよく。何せ時代物の話しか来ないので危機感もありますけど(笑)。大作の時代もので主演ができるのは、幸せなことだと思ってます。

実のある人になりたい

――例えば若いころ良いと思ったものがだんだん別の見方になってきて、でもさらに年を重ねると1周回ってミーハーになったりすることがあるのですが、岡田さんも表現の中で良いと思うものの変遷などはありますか?

それは時代によると思うんですよ。僕らはやはり時代に敏感じゃないといけないと思いますし、「どう思われるか、どう見られているのか」が大事になってくると思うんです。本当にちゃんとしたものしか観てもらえないと思っていますし、情報が集まりやすいから、ごまかしがきかない時代なんですよね。だから実があるものをしっかりやっていければと思っていますし、実というものを求めて、若い時から自分にできることを学んできたつもりです。でもまだまだ足りない部分があるので、どんどん勉強して、実がある人になりたいなと思っています。

――先ほどは先輩方から色々教わったというお話でしたが、逆に後輩の人に伝えたいことなどは。

自分が例えば、50代や60代になった時に、ちゃんと伝えられる人になりたいなとは思います。まだ30代後半で、後輩に伝えると偉そうになってしまう時があるので、もうちょっと年齢が上がってから、自分が10代~20代前半の時に先輩たちに教えてもらってきたように、教えられるような人になっていたいなと思います。自分のピークを先においているので、今ではない。そこに向けていければいいかなと思います。

(C)2017「関ヶ原」製作委員会