オンライン上での出会いサービス(マッチングサービス)が流行っている。Love Tech(ラブテック)ラボとデジタルインファクトが共同で実施した、国内におけるオンライン恋活・婚活マッチングサービスの市場調査では、2017年のオンライン恋活・婚活マッチングサービス市場は、2015年比73%増の208億円になると見込む。さらに、5年後の2022年は、2017年比約2.8倍の577億円に拡大するとの予測もある。

すでに認知度が高い“老舗サービス”がいくつかあるなか、大手企業を中心に続々と参入する後発サービスは独自性を打ち出そうとし、勝機を模索している状況だ。そんななか、「好きな顔、タイプで探す恋愛・婚活アプリ」といったコンセプトで、2016年12月にリリースされたのがマッチングアプリ「mimi」。累計ユーザー数は約26万人超(2017年7月末時点)と好調だ。

開発・運営するのは、サイバーエージェントグループの株式会社mimiLab。サイバーエージェントグループは、mimi以外にも「タップル誕生」や「CROSS ME(クロスミー)」など、すでに複数のマッチングアプリを提供しているが、さらにmimiをリリースしたのはなぜか。mimiLab 代表取締役の馬野大輔氏に話を聞いた。

株式会社mimiLab 代表取締役 馬野大輔氏

マッチングサービスユーザーは複数サービスを使う。だから勝ち目はあると思った

―― mimiを開始した理由を教えてもらえますか?

馬野氏(以下、馬野):マッチングサービスの市場は成長していて、当然競合他社も増えました。ただ、悪いイメージが先行していた昔の出会い系とは違い、近年はFacebook認証や運営側の細やかな監視体制により、サービスの信頼性が上がっています。また、結婚相談所よりも断然気軽・リーズナブルに試せることからも、若い世代からも人気を集めるようになりました。

また、マッチングサービスのユーザーは、1種類のサービスだけではなく、3種類ほど使っている傾向があると感じていました。ユーザーが複数使っているマッチングサービスの1つになれば、後発でもサービスが飛躍する可能性はあると思っています。健全かつ独自性のあるコンセプトのサービスをリリースすれば成功すると確信し、mimiで挑戦したいと思い、リリースに至りました。

―― mimiは新規事業案や課題解決案などを提案する社内の会議で決議され、事業化が決まったと伺っています。

馬野:シーエー・モバイル内で部署の垣根を超えてチームを編成し、各チームで新規事業案を形にする新規事業創出会議があります。事前に準備を重ね、“本番”となる役員・経営陣へのプレゼン大会では、すべての事業案が点数化され、上位のいくつかがその場で決議され、事業化されることになっています。

―― その日に「はい、やりましょう」と決まるんですね。スピード感があります。その後リリースまで、どのような体制で進めて来られたのでしょうか?

馬野:2016年4月にその新規事業創出会議があり、5月から動き始め、7カ月ほどの準備期間を経て、12月にリリースとなりました。始動時は開発含め12人程度の体制でしたが、リリース後は私を含め7人体制で進めています。

―― グループ内に「タップル誕生」や「CROSS ME(クロスミー)」など、マッチングサービスがいくつかあります。ある意味で競合といえますが、どんな関わり方をしていますか?

馬野:昨年10月、マッチングサービスを運営するサイバーエージェントグループ会社で「カップリングユニオン」を立ち上げました。目的は、互いにノウハウやナレッジを共有し、グループ全体として市場のシェアを獲得していくこと。グループ全体で好調なゲーム事業でも、同様の取り組みを行い、実際にうまくいっているという事例もあります。

現在は、成功した施策や数字を定例会議で共有するなど、情報をこまめにシェアし合い、いい意味で切磋琢磨しながら進められていると感じています。今後はカップリングユニオンに加盟するサービス内で回遊し、グループ全体としてユーザーを増やせる施策ができないかと考えています。