Appleが2016年9月7日に開催したスペシャルイベントでは、iPhoneとともに、防水とGPS内蔵の機能が追加された「Apple Watch Series 2」の発表があった。2017年の9月に開催されるであろうイベントについては、10周年記念モデルとなる新型iPhoneへの話題が集中してきたこともあり、Apple Watchに関する話題は、あまり取り沙汰されてこなかった印象がある。

そんな中、今年6月のWWDCでは、写真から文字盤を作る機能の追加や音楽再生機能の強化、そしてSiriがより積極的に情報を表示する「Siri Face」の搭載など、非常に意欲的な新機能を盛り込んだ「watchOS 4」を披露した。watchOS 4は、NFCやBluetoothのアプリからの汎用的な活用を実現したり、機械学習フレームワーク「CoreML」をサポートするなど、より踏み込んだアプリ開発にも対応するようになっている。

現行のApple Watch Series 2

ただし発表からは、当然ながら、新型Apple Watchの登場を匂わせる内容を見つけることはできなかった。正常進化を遂げるとするなら、プロセッサの向上や機械学習などへの特定の処理への対応とそれによる省電力性、そして先週あたりから話題に上るようになったセルラー対応あたりが、ポイントになると考えられる。

Apple Watchは、iPhoneとペアリングして利用することを前提に開発されたウェアラブルデバイスだ。すでにデュアルコアのプロセッサを内蔵しており、Wi-FiとBluetoothは内蔵されているものの、iPhoneとのペアリングの際にWi-Fi設定を読み込む形になっており、iPhoneがないと通信することは基本的にできない。

ただ、Apple Watch Series 2にはGPSが内蔵されており、iPhoneとのペアリング状態でなくても、GPSを活用した正確な距離やルートのマッピングを記録することができるようになった。セルラー対応はすなわち、Apple Watch単体で出かけても、Wi-FiやBluetooth経由のiPhoneの通信に頼らず、インターネットに接続することができるようになることを意味する。ちなみに、GoogleのウェアラブルOS、Android Wear 2.0では、2016年のOS発表の段階でセルラー対応のデバイスのサポートがアナウンスされており、Apple Watchの新モデルがセルラー対応を果たせば、1年半遅れで追いつくことになる。

では、スタンドアロンで使えるようになったところで何をするか? 活用シーンはどんなものになるのだろうか?