キャセイパシフィックグループは8月16日、2017年度上半期(2017年1~6月)決算での純損益が、20億5,100万香港ドル(約291億2,420万円、1香港ドル=約14.2円)の赤字となったことを発表。また、2017年内にエアバスA350-900を22機体制とし、キャセイドラゴンによる羽田=香港線は10月に運休する。

キャセイパシフィックはこれまでに計17機のエアバスA350-900を受領しており、年末までに同型機をさらに5機受領する予定

前年同期は3億5,300香港ドルの黒字、そして、2016年度下半期は9億2,800万香港ドルの赤字だった。一株あたりの損益は、前年同期の9.0香港セントの利益に対し、52.1香港セントの損失となった。

航空業界の基本構造の変化による影響が続いたことにより、2017年上半期は厳しい事業環境を強いられた。業績に影響した要因は2016年からほとんど変わっておらず、激化する他社との競争が最も大きなものとなった。その他の主要なマイナス要因としては、燃料価格(ヘッジによる影響を含む)の上昇、香港ドル高による外国通貨建てでの収入への悪影響、機体整備費の増加が挙げられる。なお、子会社および関連会社からの業績への貢献は良好となった。

グループの旅客事業による2017年上半期の売上高は、前年同期比3.9%減の321億500万香港ドル。供給座席数はテルアビブ線の就航や既存路線での増便を反映して1.1%増となり、座席占有率は0.2%ポイント上昇して84.7%となった。また、旅客利用距離あたりの収入(旅客1人を1km輸送することで得る収入)は、全ての利用クラスにおける競争激化、さらには香港ドル高による外国通貨建てでの収入への悪影響により、5.2%減の51.5香港セントとなった。

キャセイパシフィックは3月に香港=テルアビブ線を開設し、利用客数は順調に推移。7月には香港=バルセロナ線に季節運航で就航し、12月には香港=クライストチャーチ線の季節運航も開始する。また2017年に入ってこれまでに香港=アデレード/ボストン/ハノイ/ホーチミン/ロンドン・ガトウィック/マンチェスター/トロント(6~8月)/バンクーバーを結ぶ各路線で増便しており、年内には香港=マドリード/パリ/サンフランシスコを結ぶ各路線での増便も予定している。

香港=リヤド線は3月に運航を中止。5月まで運航していた香港=クアラルンプール線では、キャセイドラゴンが替わって週4便で運航している。また、キャセイドラゴンによる羽田=香港線は10月に運休となる。現在、キャセイパシフィックが週2便で運航中の香港=米オレゴン州・ポートランド線の貨物専用便は、9月より週3便に増便される。

キャセイドラゴンによる羽田=香港線は10月に運休する

キャセイパシフィックでは2017年上半期に6機のエアバスA350-900を受領しており、7月にはさらにもう1機を受領した。同航空ではこれまでに計17機のエアバスA350-900を受領しており、年末までに同型機をさらに5機受領する予定。一方で、最後4機のエアバスA340-300は2017年上半期に全て退役を完了している。さらに、6月には1機のボーイング747-400BCF改造型貨物専用機を退役させるとともに、アトラスエアー・ワールドワイドから2機のボーイング747-8F貨物専用機をウェットリースした。

キャセイパシフィックのジョン・スローサー会長は、「2017年下半期に事業環境の改善は実質的には期待できないと考えています。特に旅客事業では、他社との激しい競争による影響が続き、燃料価格の上昇と燃料ヘッジに伴うマイナス影響が業績におよぶと予想されます。一方で貨物事業の見通しは明るく、堅調な需要により2017年下半期には貨物輸送能力の増強、貨物利用距離あたりの収入および貨物専有率の改善が見込まれます。企業改革による効果は2017年下半期にまず現れて、2018年以降により顕著になるものと予想しています」とコメントしている。