さながら日本車連合の様相を呈するトヨタ周辺

資本提携発表の記者会見は、2年前の両社包括提携発表会見と同じ東京都内のホテルで行われた。今回は、豊田社長と小飼社長の両社長会見に続き、トヨタから寺師副社長、マツダから丸本明副社長が登壇し、両副社長による会見が行われたのも異例のことだった。

トヨタとマツダの両副社長は参謀役であり、両社の業務提携では具体策検討のまとめ役でもあった。それだけに、今回の資本提携に至る両社の協業化については、この2年間、水面下でじっくりと、かつ取り巻く経営環境の変化を睨んでの検討を進めてきたのであろう。それが今回、両社の第1四半期決算発表を終えたところでの資本提携となった。

トヨタ・マツダの資本提携は、トヨタがマツダに500億円で5.05%を出資する一方、マツダもトヨタに同額で0.25%出資するという、両社が株式を持ち合う形になることが注目された。これまで、トヨタの資本提携はトヨタからの出資がメインだったので、株式の持ち合いは異例だ。

同額を出資し合う形となる両社。トヨタの株式持合いは異例だ

トヨタは昨年夏にダイハツ工業を100%完全子会社化したほか、日野自動車に50.1%、スバルに16.7%、いすゞ自動車に5.8%を出資している。昨年秋には、スズキとの業務提携に関する発表も行った。これによりトヨタグループには、ダイハツ・日野の連結グループ企業と、スバル、いすゞ、マツダ、スズキが加わり、さながら日本連合の様相を呈している。

相互出資に至った背景に米国工場

なぜ、マツダとは相互出資による資本提携としたのか。「自主独立性を尊重し、切磋琢磨しながら持続性のある協調関係にする。だから資本を持つ形をとった」(豊田社長)と会見で答えたが、相互出資が決まった理由として大きいのは、米国における合弁工場の建設だろう。

トヨタとマツダは、米国に両社折半出資で年産30万台規模の合弁会社を設立し、2021年の稼働開始を目指していく。投資総額は16億ドル前後で、雇用は4000人規模を想定する。つまり、相互出資で調達した資金を合弁新工場の投資資金に充てるということだ。

トヨタ、マツダともに、米国市場はグローバル戦略の要であり、特にマツダは北米の生産拠点としてメキシコ工場を持つが、米国生産(フォード合弁工場)からは撤退していた。力を入れるSUVの米国生産は、トヨタとの合弁工場で実現できることになる。新工場でトヨタは米国市場供給車種の集約を図り、将来的なEV生産も視野に入れる。