DSMは8月3日、自動車業界を中心にソリューションを展開している次世代高機能樹脂「ForTii Aceシリーズ」の第一弾として、多くの金属部品の代替を可能にする「ForTii Ace MX」の一般販売を開始したことを発表した。

「ForTii Aceシリーズ」が実現する次世代の金属代替

今回販売が開始されたForTii MXは、PA(ポリアミド)4TをベースとするPPA(ポリフタルアミド)で、従来のPAやPPAでは実現できなかったPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)以上の高温のガラス転移点を持つことから、高温環境下でも引張強度、剛性、弾性率、耐薬品性などの物性を維持できるという特長を持つ。具体的には、従来(ForTii)シリーズ比で約40℃上昇となる160℃としており、新たにエンジンルーム内などの高温状況下にある金属材料の代替が可能になるとする。

また、射出成型が可能で、吸水性が低いことから寸法安定性も高く、大量生産と製造コストの抑制が可能であるほか、同製品は高温環境下においても、小型部品でも強度を保つことから、エンジンルームの省スペース化やNVH(騒音・振動・ハーシュネス)を防ぐといった、軽量化以上の価値も提供することが可能だという。

150℃付近の高温環境下における性能例

自動車における金属代替の市場は、毎年10%近く成長しており、さらに世界の主要自動車市場では、CO2排出量の規制を受けて2025年までに平均約200kgの軽量化が求められている。同社は、今回の製品によって自動車で用いられている金属を代替が可能な範囲で取り換えることで、50%程度の軽量化が可能だと説明した。

「ForTii Aceシリーズ」の性能

なお、同社では現在、欧州では大手自動車OEM/部品サプライヤーと共同して量産化に向けた取り組みを始めているとのこと。それに並行して、日系自動車OEM/部品サプライヤーにも広くアプローチし、自動車の軽量化やCO2排出量削減に貢献していくとしており、現在7本のプロジェクトが国内にて進められていると説明しており、今後も引き続き国内での市場拡大に向けた取り組みを進めていくとしている。