日本のケータイ市場では、キャリアのメニューに入る公式サイトに対して、「勝手サイト」が発展してきた。公式サイトではキャリア課金が利用できたり、 アプリや位置情報等の利用に対応するなど、メリットがあった。その一方で勝手サイトは、Flashコンテンツを主体として独自のビジネスをキャリアをまたいで展開することができる自由度があった。モバゲーやGREEといったプラットホームは、そんなブラウザゲームで大きく成長してきた。

しかしAppleやGoogleがアプリによるコンテンツ提供のエコシステムが確立されていくにつれ、アプリダウンロードそのものへのハードルが下がり、ブラウザゲームからアプリのゲームへと移行が進んでいった。

こうした時代の流れの中で、ポケモンGOやスーパーマリオ・ランのような大ヒットゲームの誕生がもたらされた。そんな時代の流れの中で、日本では、Yahoo!が、再びブラウザゲームのビジネスを展開するニュースが流れた。Yahoo!の「ゲームプラス」は、ブラウザで楽しむゲーム、クラウドを活用するゲームを束ね、国内の人気ベンダーが集い、コンテンツの充実が期待される。使われる技術はFlashではなく、HTML 5とクラウドからの配信だ。

Yahoo!の「ゲームプラス

これによって、スマホらしい位置情報やモーションセンサー、タッチを活用したゲーム体験を実現するだけでなく、ゲーム専用機さながらのグラフィックスを楽しめるようになる。発表会ではiPhone 5sがデモに使われていたが、これも実に象徴的だ。というのも、ゲームプラスのプラットホームが狙うのは、格安SIM、格安スマホを利用している層だからだ。アプリダウンロードのためには大きな空き容量が必要となり、比較的小さな容量のスマホを利用しているユーザーにとっては負担となってしまう。ブラウザゲームであれば、端末自体に保存容量の余裕がなくても、様々なゲームをザッピング感覚で楽しむことができる点がメリットとなる。また開発企業は、アプリダウンロードにハードルを感じる層へゲームを紹介できるだろうし、そしてApp StoreやGoogle Playにあるアイテム課金や、そもそものゲームの表現に関する規制を逃れることができ、より自由なゲームコンテンツやビジネス展開が可能となるだろう。