LINE ポイントが成功の鍵を握る

LINEが企業アカウントを魅力的にし、その実力を最大限に生かすための仕組みとして用意されたのがLINEショッピングだ。だが、LINEショッピングが成功するか否かは、LINEショッピングを通じて入手できるLINE ポイントが魅力的かどうかにかかってくる。この点はどうだろうか。

ポイントサービスは汎用性が高く、多くの場所で入手・利用でき、ポイントの還元率が高いほど人気が集まる。Tポイントや楽天スーパーポイントといった既存の人気ポイントサービスはこうしたポイントをしっかり押さえている。

LINE ポイントは1ポイント1円でLINE Payに転換可能

一方LINE ポイントはこれまで、入手する機会が限られており、また利用目的はスタンプの入手程度というユーザーも多かった。一方で、1ポイントからLINE Payへの変換も可能で、LINE ポイントを現金として利用できる素地はあった。

藤井氏もLINE ポイントの使い道としてLINE Payを強く推しており、「LINE Payはオンラインで使うだけでなく、LINE Payカードに貯めることでオフラインでも利用できる。LINE Payカードがなくても、バーコードを表示してバーコード決済することもできる」とメリットをアピールする。

LINE ポイントそのものは、単独ではショッピング等に利用できないが、LINE Payへ変換することで汎用性が一気に高まる。LINE Payの魅力をもとにLINE ポイントへの需要を高め、効率良くポイントを集める手段としてLINEショッピングを活用するというわけだ。

LINE ポイントは一種のキャッシュバックとして利用されることになり、LINEショッピングはLINE ポイントのためのポイント供給源という位置付けを得るわけだ。

ここで、LINEショッピングはLINE ポイントだけでなく、その先の独自ポイントも許可するという特殊な作りが役に立ってくる。通常のショッピングサイトと違い、ブランドとのポイント二重取りができるので、もし付与されるポイント自体が少なくてもお得感は得られるからだ。ブランドの中に含まれない日用品も、楽天市場やYahoo!ショッピングといったショッピングモールからなら購入できる。ポイント変換の手間がかかる点はデメリットだが、汎用性や貯めやすさでは他のサービスにかなり肉薄できていると言えるだろう。

LINEの思惑通り、LINEショッピングがオンラインとオフラインの間をつなぐサービスとして定着するには、LINE ポイントの認知度が高まり、LINEショッピングでの買い物がお得というイメージをLINEユーザーの間に広める必要がある。藤井氏が「LINE CONFERENCEではB2Bの話に終始し、B2C向けの説明はこれから」と語るように、LINEはこれからユーザーの間でLINE ポイントの存在感を高め、LINEショッピングを使ってもらえるように誘導していかねばならない。単純に考えればポイント還元率を高く設定するのが簡単な方法だが、果たしてどのような手段でアピールしていくのか、LINEならではの手腕に期待したい。

LINEショッピングによりオフラインとオンラインの世界が繋がる時、その架け橋になるのはLINE ポイントに加えてもうひとつ、企業のLINEアカウントだ。LINE自身が中核ビジネスと位置付ける「アカウント」は、今や単なるチャットのアドレス以上の存在価値が出てきている。次回はLINEが描くアカウント戦略について考察してみよう。