JCUと島津製作所、きもとの3社は、関東学院大学 材料・表面工学研究所と共同で、この成膜技術の応用により、衝突予防システムなどに用いられるセンサ、ミリ波レーダーを搭載する自動車のエンブレムを効率的に生産することを目指して、電磁波を透過するクロム膜を成膜する新技術を開発した。

高速スパッタリング装置

同技術は、素材の表面に特殊な塗料を使用して有機膜の下地層を形成し、スパッタリングで下地層の上からクロムで被膜。これを加熱することで、有機膜とクロム被膜の熱膨張率の違いから応力差が生じ、クロム被膜に微細なクラック(ひび割れ)が生じさせ、ミリ波を含む電磁波の透過を可能とした。

この電磁波透過膜の性能評価においては、既存のミリ波レーダーが使用する周波数76GHz帯もしくは将来実用化が期待される周波数79GHz帯、いずれにおいても、従来のインジウムを用いる方法と比較して最大50%コストダウンしながら同程度の電磁波減衰率であることを確認したとする。

ミリ波レーダー搭載用のエンブレムへの電磁波透過膜の成膜は、海外企業が開発したインジウム蒸着手法が主流となっている。同レーダーを搭載する自動車は、2030年に4,700万台を超えるという予測もなされており、市場の拡大が期待されている。

同社らは、ミリ波レーダーを搭載する自動車のエンブレムの電磁波透過膜を低コストかつ効率的にコーティングすることを期待し、同技術を「ELTRA(エルトラ)コート」と名付け、島津製作所が技術や装置を提供する事業を開始した。同社はこの事業で2020年度に売上高50億円を目指すとしている。

電磁波透過膜成膜プロセス「ELTRAコート」のイメージ