SAPジャパンは7月21日、中堅中小企業向けビジネスに関する説明会を開催した。今年4月の説明会では、中堅中小企業向けに特化した70名体制の新組織を立ち上げたことを紹介、今回はこの3カ月間でどのような成果を上げることができたのかが紹介された。
SAPジャパン バイスプレジデント ゼネラルビジネス統括本部 統括本部長の牛田勉氏は、中堅中小企業向けビジネス施策として、「パートナー」「マーケティング」に関する成果を紹介した。
パートナーについては協業モデルの構築を、また、マーケティングについては中堅中小企業ビジネス市場における認知度の向上を目標としていた。
具体的には、6社のパートナーと案件創出に向けたワークショップを開催したという。加えて、営業・プリセールス向けにトレーニングを合計40回開催し、170社1300名のパートナーが参加したそうだ。
また、1-3月期で10社、4-6月期で10社が新規でパートナーになったという。今後の重点領域としては、「クラウド」「非ERP領域」「エリアカバレッジ」が紹介された。エリアカバレッジについては、パートナーと協力して、End to Endでのサポートを提供していく。
加えて、同日より、パートナーとの協業キャンペーンが行われることが紹介された。牛田氏は「今までとは違う取り組みであり、ERPを導入するにあたって、コストが心配という顧客の悩みを解消したい。このキャンペーンではERPを明朗会計で提供し、さらに特典も付ける」と語った。
キャンペーンの内容はパートナーによって異なるが、例えば、「初期費用が不要」「初年度の利用料金が半額」といった特典があるという。
牛田氏は中堅中小企業のビジネスの傾向について、「海外に工場を開設、海外でパートナーを構築など、海外に進出して日本のビジネスのやり方と異なる中で、SAP製品を活用する傾向が高い。ECサイトを運用している企業の場合、SCMも含めて導入するケースが増えている」と説明した。さらに、「日本企業がパッケージの導入に慣れてきたことも実感している」と述べた。
また、今後の課題については、「中堅中小企業の市場において、われわれはチャレンジャー。そうしたなか、顧客をEnd to Endでサポートしていくことが大切だと考えている。そのためにも、サポートを協力してくれるパートナーを増やしていきたい。また、第3、4四半期では、スケールするようなビジネスモデルを構築していきたい」と語った。
説明会には、1-6月期で新たにパートナーになった企業4社が参加、SAPの中堅中小企業ビジネスについて説明した。
エヌティ・ソリューションズ代表取締役の中原徹也氏は「15年前からSAPビジネスを手掛けてきた。昨今、SAPにはパートナーのエコシステムを本格的に構築しようという意気込みを感じている。今後は、SAP製品にAIやRPAを組み合わせることで、先端技術を目に見える価値として提供していく」と語った。
グッドスマイルロジスティクス&ソリューションズの藤井直人氏は、「当社は『ねんどろいど』という商品を提供しているが、その通販サイトを構築するにあたり、SAP Hybrisを導入した。その結果、越境ECサイトの売上が、海外販売を開始した2012年から5年で約13倍になった。そのノウハウを生かし、SAP Hybrisの導入をサポートしている。SAP Hybrisは国内・海外のすべての情報を一元管理できる点が特に魅力、越境ECに必要な機能がすべてそろっている」と説明した。
CEGB 常務執行役員 福田嘉一氏は、「SAP Business ByDesignを社内で導入したが、わずが45日で本番稼働にこぎつけることができた。コストと時間をかけずに導入できるのは最大のメリット。ただ、入れたシステムを生かして、経営スピードの向上や売上拡大につなげるのは顧客。したがって、顧客にSAP Business ByDesignの使い方をガイドしていくのがパートナーの仕事となる。SAP Business ByDesignによって顧客の課題を解決していきたい」と述べた。
FutureOne 代表取締役社長の櫻田浩氏は、「2015年秋より、SAP Business Oneを提供してきたが、このたび、SAP Business ByDesignを新たに取り扱うことにした。当社は独自のERP製品を提供しているが、カスタマイズが不要で、グローバルへの対応が必要な場合はSAP製品を提供する」と語った。