Appleの「ヘルスケア」アプリを見ると、運動、栄養、睡眠、マインドフルネスの4つの項目が健康に関する主要な分野であることが分かる。Apple Watchは運動の部分に重点を置く一方で、「呼吸」アプリによってマインドフルネスの分野にも踏み込んだ。

iPhoneのヘルスアプリ。運動、栄養、マインドフルネス、睡眠の4つの分野がフィーチャーされている

マインドフルネスは、シリコンバレーでも流行していた、心を落ち着かせることから集中力を高めたり、自分と向き合う時間を作ることによって心の健康を保とうとするアイディアで、時折その手法として引き合いに出されるのが「禅」だ。

サンフランシスコ市内でのZenのセッションに参加した際の写真。Apple Watchの呼吸アプリを使って見たが、振動の音が響いてしまうほど、静かな空間での瞑想だった

確かに坐禅のようなマインドフルネスのセッションは盛んで、筆者も早朝の45分のセッションに参加したことがある。実際に体験したところ、どちらかというとチベット仏教の瞑想に近い様式を取っており、日本の仏教の坐禅とは異なると感じた。しかし「Zen」は英語でも人気のキーワードとなっている。

マインドフルネスとエクササイズの中間に位置するヨガは、iPhoneやApple TVでレッスンを配信するアプリが充実しており、ヨガスタジオに頻繁に通えない人が、トップトレーナーのレッスンを受ける機会を提供している。また、「Headspace」や「Calm」といった心を落ち着けるアプリも人気を集めるようになった。

もう1つの分野、栄養については、食べたものを計測することが難しい。ただし、水分については、「H2Opal」というアプリと連携するボトルセンサーも登場しており、飲んだ水の量を自動的に計測することができる仕組みを提供している。

センサー内蔵の水のボトル、H2OPal。ボトルの底面に重さのセンサーが入っており、飲んだ分量を計測できる仕組み

また栄養については、健康的な、あるいは機能性を狙った食事の提案と調理を組み合わせたアプリが人気を集めており、「LoseIt!」や「Meal Prep Pro」は、その人に最適なダイエットプランに沿った食事の提案と、その調理方法を見ることができるものになっている。

睡眠に関しては、iPhoneの時計アプリに「ベッドタイム」という睡眠を規則正しくする機能が備わっているが、細かい睡眠計測には、Appleが買収したBeddのセンサーとアプリを用いることができる。

Appleが買収した睡眠センサーBeddit

Beddは、ACアダプタ部分に気温と湿度のセンサーが、そしてベッドの上に敷くストラップに細かい動きを検知するセンサーが備わっており、心拍数と体の動きをつぶさに記録することができる。本当は、iPhoneやApple Watchで睡眠計測ができれば、これに対応するフィットネストラッカー製品への死角をなくすことができるが、バッテリーの問題から、現状は難しい。そこで、Beddの買収によってより本格的な計測をサポートした、というわけだ。