Appleが提供する個人間送金は「Apple Pay Cash」。これまでのApple Payは、クレジットカードやデビットカードを登録し、対応する店舗やオンラインショップでの決済に利用できた。

個人間送金をセットアップするとWalletアプリに「Apple Pay Cash Card」が登録される。また、送金時にTouch IDによる認証が必要な点は、これまでのApple Pay決済と共通だ。

動作は他のサービスと類似している。Apple Pay Cashの送金を受け取ると、その金額はApple Pay Cash Cardに溜まる。これをすぐに銀行口座に送金しても良いし、他の人に送金する際に利用することもできる。また、Apple Payでの買い物に残高を利用するのも可能だ。銀行口座からの出金や入金に手数料はかからない。

iMessageから送金が可能

そんなApple Pay Cashで最も大きな差別化のポイントは2つとなる。

1つ目は、Touch IDによるセキュリティの確保だ。筆者は普段からSquare CashやFacebookメッセンジャーの個人間送金機能を米国で使っているが、これらを実行するときの特別な認証などは必要ない。確かに気軽ではあるが、ロック解除された状態のiPhoneを誰かが使うと、その人に送金を簡単に行えてしまう。その問題に対し、Apple Pay Cashでの送金はTouch IDによる生体認証が必要となるため、これまでのサービスよりも安心感が高くなるというメリットがある。

2つ目の差別化のポイントは、Apple Pay決済時にApple Pay Cashの残高を使うことができるところだ。Appleの参入で競合サービスとなるVenmoも、送金を受けた残高を他の店舗で利用できる仕組みになったが、そうなったときにApple Payのメリットは、利用可能店舗の多さだ。既に36%ものアメリカの小売店でApple Payが利用できるようになっており、Apple Pay Cashの残高の有用性は他のサービスと比較してはるかに高い。