山頂からの絶景! 白砂の砂漠もまた魅力的
天上山には白島登山口と黒島登山口のふたつの登山口があり、白島登山口は6合目(駐車場有)まで車で行くことができる。白島登山口までは距離にして3km弱、徒歩で約1時間半を要す。
白島登山口から最高地点までは約1時間、山頂周遊では約2時間、下山や休憩等の時間を入れると4~5時間が所要時間の目安となる。なお、山頂には自販機はなく、トイレは一カ所のみ。入山時には、水分補給の用意やトイレは済ませておこう。
天上山山頂には約40の小ピークがあり、中には神々が集まり水配りの会議を行ったと伝えられる「不入ガ沢」や、雨が降った翌日にはハート型に水をたたえた姿を見せる「不動池」などのパワースポットも。また、四季折々の花などの植生も豊かで、歩いていて退屈しない。というより、歩く先々でめくるめく絶景が迎えてくれ、カメラを休める暇がない。
最高地点からは晴れた日は、富士山や南アルプスを一望。裏砂漠展望地からは神津島の多幸湾の東方に浮かぶ無人島「祇苗島(ただなえじま)」や遠く三宅島、御蔵島などの島々、新東京百景展望地からは式根島、新島、利島などが眺められる。中でも、広大な白砂の砂漠が続く「表砂漠」と「裏砂漠」は不思議な光景だ。一見、荒涼とした景色に見えるが実は緑も多く、表砂漠には休憩スポットも設けられている。
天上山登山情報は村のホームページにガイドブックが用意されているが、初めての人や登山に不慣れな人は、地元ガイドをお願いするのもいいだろう。初心者でも登りやすい山だが、歩きやすい靴や服装、天候の急変などに備えた装備は忘れずに。観光協会では登頂証明書も発行している。
神々の島にはさまざまなパワスポも
島には神々が集う島の名に違わないパワースポットも。島中心部にある島の開祖・物忌奈命を祀る「物忌奈命神社」は、「阿波命神社」とともに名神大社に列しており、いずれも神々しく心洗われる空間。このほか、江戸初期のキリシタン殉難者「おたあジュリアの墓地」や洞窟に納められた笑う閻魔「えんま洞」、神津島港には竜神様、「神津百観音」等のお堂など数多。黒島登山道に向かう途中には「山の神・冷風穴」も見られる。
島には観光レジャーの疲れを癒やしてくれる島グルメや、癒やしのスポットもある。まず、自然の岩場を利用した温浴施設「温泉保養センター」では、海を臨む大露天風呂や展望露天風呂を楽しめる。
忘れちゃいけない島グルメ!
民宿などの宿では、島で水揚げされる金目鯛や赤イカなどの新鮮な魚や島産の天草を使った絶品のところてんや他では味わえない柔らかな明日葉などの島グルメが堪能できる。例えば、「よっちゃーれセンター」の2階には、刺身や漬丼、尾頭付きの金目の煮魚などが1,000円で食べられる定食が充実している。
地元にも多くのファンを持つ「まいとりぃ」は、国産石臼挽のそば粉と神津のおいしい水で作った本格的な手打ちそばがいただける。最近は和食だけでなく、おしゃれなグルメスポットも増えている。フランス料理のレストラン「コルドン・ブルー」、2017年3月オープンした「HYUGA BREWERY(ヒューガブルワリー)」は、各国のビールを取りそろえるほか、近々、地ビールの発売を予定している。
星空も美しい神津島、今年の夏は海も山の両方が楽しめる、こんなグルメな島旅に出掛けてみてはどうだろうか。
筆者プロフィール: 水津陽子
フォーティR&C代表、経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、企画コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。著書に『日本人がだけが知らないニッポンの観光地』(日経BP社)等がある。