凸版印刷とデンソーウェーブは7月10日、iPadを活用し、ICタグ薬包を一括読み取りで管理でき、Appleが提供するオープンソースプログラム「CareKit」を用いて服薬アラートや残薬量などをiPad上に表示できる専用の通信機能付き薬箱を共同で開発したと発表した。また、同製品を活用した服薬管理の有効性を検証する実証実験を6月27日~7月4日まで実施した結果、飲み忘れ防止効果や残薬の見える化による薬剤管理の精度向上効果が確認され、その有効性が実証されたという。

今回、開発した通信機能付き薬箱は患者と処方薬とを個別に紐づけたICタグ薬包を自動で読み込むことで服薬状況の管理が可能な家庭や療養・介護施設向けでの活用が期待される製品。服薬履歴や残薬量をクラウドで管理することにより、患者と医療従事者双方の負荷軽減ならびに遠隔地からの見守りサービスとしての有効性が見込めるという。

開発したICタグ薬包と通信機能付き薬箱

なお、同製品において、凸版印刷はICタグ薬包と通信機能付き薬箱の開発、デンソーウェーブは通信機能付き薬箱に組み込む、複数のICタグを一括読み取りできる920MHz帯RFID読み取り技術を提供した。

実証実験は、薬剤師を含む全国の一般生活者モニター8人を対象に的ICタグ薬包による服薬履歴の取得や、従来の服薬行動に対する優位性の確認、大量のICタグ薬包を複数同時に読み込む920MHz帯RFID読み取り技術を検証した。被験者宅にICタグ薬包と通信機能付き薬箱を設置し、通信機能付き薬箱が箱内に収められたICタグ薬包を常時読み取り、CareKitを用いてその内容・数量をクラウドに送信。

その後、設定時刻になると服薬時刻を知らせるアラートが接続したiPadから発信することで、クラウド上の服薬状況(箱から取り出された履歴)、残薬量などのデータは医師を含む第三者がモニタリングし、iPad画面上に反映される、取得された過去の服薬履歴の閲覧も可能としている。

結果は、実証期間中の全体の服薬率は95%、うちアラート音や画面表示による飲み忘れを防止した回数が全体の21%となり、家庭の残薬量、過去の服薬履歴の把握を実現。また、遠隔地の家族など、第三者の見守りによる安心感を提供できるほか、かかりつけ薬剤師の在宅訪問薬剤管理に対する負荷軽減といった有効性を確認したという。