最近では、Getting Things Done(以下GTD)生産性システムはあまり話題に上らなくなっています。GTDはブレット・ジャーナル(Bullet Journal)みたいにカラフルではないし、インスタ映えする写真も撮れません。

また、 “GTDに最適” と謳うアプリがたくさんありますが、どれもどこか微妙に物足りない感じがします。というのも、GTDはそもそもアナログな手法であるからです。メールを自動でフォルダに分類していたり、ドキュメントから自動でToDoタスクやカレンダーの予定を抜き出している人にとっては、GTDはあまりうまく機能しないでしょう。

なぜなら、GTDの核心は、すべてのToDoタスク、責務、懸念事項(GTDではオープンループと呼ぶ)を能動的に拾い集め、1カ所にまとめることにあるからです。メールはすべて自分の目でチェックし、1つ1つ予定を書き出すことが重要です。アプリで自動で予定を拾い出していると、アプリが何かしらの予定を見逃しているのではないかという懸念がつきまとうはずです。その懸念が「オープンループ」になって、頭の中に居座るようなら、GTDはうまく機能しません。

私は過去10年間にわたり、こうしたオープンループをクリアにし続けてきました。メールを処理し続け、予定をスケジュールし、タスクを書き出し続けてきました。情報管理については、様々なアプリ(カレンダー、フットネス、バンキングなど)の助けを借りていますが、情報の収集パートについては、完全に自分だけで行っています。

こうした月日 が、つまりはGTDの実践の日々が、私の脳をすっかり変えてしまいました。どんなことについて考えたとしても、実行可能なアクションに自動的に分解してしまうようになったのです。また、週次レビューをしない月曜日を想像することなどできないし、ユビキタス・キャプチャ・デバイスに手を伸ばすより長く、頭の中にオープンループを放置しておくこともできません。

ただし、私はそれをユビキタス・キャプチャ・デバイスとは呼んでいません。私の場合、結局、手帳しか使ってないからです。

David Allen氏が2001年の著書『Getting Things Done: The Art of Stress-Free Productivity』で書いたことの多くは、もはや時代遅れになっています。

私は未読ですが、この本は2015年に改訂版が出されており、おそらく、テキストメッセージやTwitterについて言及されていると思いますが、それでも、すでにもう時代遅れになっているはずです。

とはいえ、私は改訂版を読む必要はありません。私はすでに改造されてしまったからです。配線がつなぎ変えられてしまったのです。この、ストレスフリーな生産性システムに最適化され、いつでも物事を達成する(GTDする)準備が整っているのです。

GTDで生活がどう変わったか

米LifehackerのライターGina Trapaniが書いた「GTD簡略版」という記事を読んだのが先か、Merlin Mann氏の「43Folders」を読んだのが先かを憶えていませんが、2007年当時は多くの人がGTDのことを話題にしていました。私は就職したばかりで、電話対応以外の仕事を初めて与えられて、やる気がみなぎっていました(すでにToDoリストをメモ帳に書き出し、達成したらチェックをする、を毎日繰り返しいていた)。私は上司に、GTDの本を読みたいと直訴し、オフィスの向かいにあった書店まで買いにいったのを覚えています。

ページをめくるたびに、内容のすべてがメロディーのように自然と脳内に流れ込んできました。私はスプレッドシートを開くと、未完了タスクをすべて書き出していきました。そして、新しい行を追加しながら、オープンループを「次のアクション」に次々と分解していきました。それから、備品保管室に行き、インボックスとして使う紙の束と、タスクやアクションを実行するのに必要な用具を探しました。また、上司にフォルダを43個と、それを入れるハンギングファイルを買ってくれないかと頼みました。

こうして私はオフィスで1番のGTDバカになり、布教活動にいそしむことになります。同僚たちのGTDの本を読ませ、デビッド・アレンのオンラインセミナーを受講するように勧めました。人事部にかけあって、ホテルの大ホールで開かれるGTDのセミナーへの参加を、仕事の研修として認めてもらうようにしました。

それだけではありません。私は実際、多くのことを成し遂げもしました。私は社内で、複数のプロジェクトを期限を守りながら達成できる人物であると認められるようになりました。私はすべての未達成のタスクを書き出し、アクションに分割し、週に1度、レビューを行いました。そして、GTDにおける最も困難なパートもきっちりとこなしました。それは、ToDoリストを着実に実行することです。GTDを単なるスプレッドシート・システムではなく、生産性システムに仕立て上げました。

GTDがうまくいくのは、未達成のタスクをすべて1箇所に集めることができるからです。おかげで、「トイレットペーパーを買うこと」とか「メリッサに請求書の件でメールすること」など、やるべきことを頭の中で反芻し続ける必要がなくなり、脳のスペースを浪費しなくてよくなります。私にとってこれは革命的なことでした。どんな小さなことでも書き出し、アクションに分解し、そうしたアクションをすべて、1つのドキュメントにまとめておくことができるのは素晴らしいことでした。

GTDがうまくいくもう1つの理由は、ToDoリストと、アクションリストをぱっと見渡して、今すぐできるアクションをピックアップすることができることです。1つのアクションが完了したら、すぐに次のアクションを選びます。

GTDのほうが、ほかの生産性アプリやシステムよりも結局は使いやすい

GTDを始めてから、数々の生産性アプリやシステムを試してきました。Remember the Milkも何度もダウンロードしては削除しました。基本的には良いアプリなのですが、タスクを追跡したり、整理したりするのはスプレッドシートのほうが速くできました。

また、しばらくの間、Kanban Chartでプロジェクトを管理しようといじっていたこともあります。ポストイットを動かすのは楽しかったのですが、すでにGTDのリストにあるデータを再作成しているだけなのに気づきました。(リストが2つあると、片方を更新したときに、もう片方を更新し忘れることがあります。いつもその心配をしていなければならず、それも時間の浪費につながります)

ある時期には、スプレッドシートではなく、Basecampにすべてのデータを入力していました。当時のBasecampには必要な機能がすべて揃い、余計な機能は一切ありませんでした。私にとっては、「次のアクション」のリストが1つだけあって、それがカテゴリに分割できればよかったのです。自分の代わりにデータを整理してもらうことも、アプリから提案や助言をもらう必要もありませんでした。

ところがあるときから、Basecampが、私のスマートフォンと同期しなくなってしまったのです。新しいバージョンのBasecampは、私が必要しない機能がいくつも搭載されていました。

結局、現在はスプレッドシートを使っています。使い方はかなり変遷がありますが、基本的にうまく機能しています。ときどき、Bullet Journalに乗り換えようかと気持ちが揺れるときがあります。でも、紙はすぐにぐちゃぐちゃになり、箱に詰め込まれる運命であること、また、私のスプレッドシートには何年にもわたって、これまで達成したものすべてが正確に記録されていて、必要なときにいつでも見ることができるのです。

私のGTDはどう変わっていったか?

私は10年間、GTDを実践してきました。いまでもすべてを紙に書き出しています。ベッドから起き、ホームオフィスに入ったらすぐにやるつもりのタスクも、きちんと書き出すようにしています。(部屋を出たとたん、何をすべきだったたか忘れてしまうことってありますよね?)

また、メール、一時的なメモ、そのほか、どこに分類していいかまだわからないタスクを入れておく、専用インボックスを使っています。Tickick Folderは2012年頃に使うのをやめました。Googleカレンダーでほとんどのリマインダが処理できるし、43folderシステムを維持するだけの紙を持ち合わせていないからです。

以前は金曜日に週次レビューを行い、その日までの一週間を振り返っていました。現在は月曜日に週次レビューを行い、それからの一週間をプランするのに使っています。

また、次のアクションを日付別に分けています。同じリストに入れずに、火曜日にやるべきこと、というリストを作っています。スプレッドシートをカレンダーのように使っていて、日付別に、仕事用と個人用のタスクリストを作成し、完了したタスクにはチェックをつけています。スプレッドシートにアイテムを登録するときに、アイテムを個々のアクションに分割しつつ、それを実行する日を決定します。

私はまだ、古いBasecampアカウントに、「いつか/たぶん」アクションのリストを残しています。このリストはほとんど使っていませんが、過去に達成したタスクがたくさん保管されていますから! 現在では「いつか/たぶん」リストはGTDでまかなっています。「オーケー、私はこれをやり遂げたい。いつ、どうやってやればいい?」と言いながら、私は多くのことを達成してきたのです。

そして、リストしたタスクを実行するのがGTDで最も困難なパートです。あとは、メモをとるのが上手であれば十分です。

Nicole Dieker(原文/訳:伊藤貴之)

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